けんじけんブログ

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

オススメの曲『虎4のテーマ』(『ウルフガイ 狼の怨歌』より)

たか厨@けんじけんです。

小説家、漫画原作者として活躍された平井和正先生が2015年1月17日に急性心不全により76歳で亡くなられました。
代表作としては『8マン』、『ウルフガイ』シリーズ、『幻魔大戦』シリーズなどが挙げられます。
今回、取り上げる『虎4のテーマ』は、1992年〜93年にバンダイビジュアルより全6巻(各巻30分)で発売されたOVAシリーズ『ウルフガイ』を彩った一曲です。

ウルフガイ
原作:平井和正
監督・絵コンテ:吉永尚之
脚本:藤井紀和
絵コンテ:青木康直(第2話のみ)
キャラクターデザイン:つるやまおさむ
作画監督:青野厚司、寺島みどり、梶谷光春、越智信次、高見明男、つるやまおさむ
音響監督:田中英行
キャスト:森川智之堀内賢雄佐々木優子横山智佐麦人川村万梨阿郷里大輔西村知道 ほか
製作:映像工房、J.C.STAFF

虎4(フースー)は、中国の特務機関・虎部隊に所属し、虎に変身できる不死身人間の少女のコードネームです。彼女は、同じく不死身人間であり、狼に変身できる主人公の少年・犬神明(いぬがみ・あきら)と最初は敵対するものの、やがて彼に好意を抱くようになる……というキャラクターでした。
原作小説が発表されたのは、70年代ですが、今で言うツンデレ・キャラの先駆けではないでしょうか?

そんな彼女のテーマ曲として書かれた2分30秒の楽曲が『虎4のテーマ』です。胡弓を連想させるようなストリングスの哀切な響きが、彼女の報われぬ恋心を想起させ、聴く者の心を打ちます。人間離れした膂力(りょりょく)と戦闘能力を持つ彼女の、少女らしい切ない内面を巧みに表現した曲で、本作の楽曲の中では、筆者の一番のお気に入りです。

本作の第5話『永訣』で、死地に赴かんとする虎4が、犬神明から「君の本当の名前を教えて欲しい」と尋ねられ、歓喜に震えながら本名を答える、原作でも屈指の名シーンに、この曲が流れるのは心憎い選曲と言えます。
命を落とすかどうかの瀬戸際で、遂に二人の心が真に通い合った刹那の瞬間を、この曲が優しく包み込みます。
原作を読んでいた筆者は、この後、彼女を見舞う悲劇を知っていただけに、やり切れなさすら覚えましたが……。

本作のサントラは2枚発売されており、『虎4のテーマ』は1枚目の『ウルフガイ 狼の怨歌』に収録。またバリエーション曲である『悲しみの虎4』と『虎4の怒り』は2枚目の『ウルフガイII 狼の鎮魂歌』に収録されています。『悲しみ〜』はピアノがフィーチャーされた曲で、しっとりと虎4のモチーフが奏でられます。『〜怒り』はシンセサイザーが際立つアクション曲です。川井さんが、両曲で虎4のモチーフをどう展開させているか、『虎4のテーマ』と聴き比べてみるのも一興かと。


以下、話は、音楽に関係のない横道にそれます。
興味のない方は読み飛ばしてください。

80年代半ば、漫画家の高橋留美子氏が、平井先生の『ウルフガイ』関連の書籍に犬神明、虎4らのイメージ・イラストを寄稿したのを、筆者は見たことがあります。その本には高橋氏と平井先生の対談も掲載されていて、高橋氏が虎4への熱い思い入れを語る一方、当時『めぞん一刻』に傾倒していた平井先生は、高橋氏のイラストに「原作のイメージ通り」と太鼓判を押していました。

90年代になって、『ウルフガイ』のOVA化が発表され、主要キャラクターたちのデザインとスタッフリストを見た筆者は首をひねりました。「数年前に高橋氏が発表したイラストとキャラクターの顔が同じなのに、どうして高橋氏の名前が、キャラクター原案としてクレジットされていないの?」と。……以後、20年以上も、筆者は首をひねり続けることになりました(苦笑)
今回のブログを書くにあたり、本作について、改めてネット界隈で調べたところ、「キャラクター原案は高橋氏が提供したものの、諸事情からクレジットされなかった」との情報が得られ、筆者は20年来の疑問がようやく解けて、すっきりしました。
本作の虎4は、やはり高橋留美子キャラだったのです!!

さて、ここで、はたと筆者は気づきました。
・主人公と最初は敵対するも、後に彼に恋心を抱く。
・しかし主人公には別に想い人がおり、その恋心は報われない。
・武術の達人。
・猫科の動物に変身できる能力を持つ、中華娘。
という虎4との共通点を持ち、やはり高橋氏のペン先から生み出されたキャラクターといえば、『らんま1/2』のシャンプーがいるではないかと。
高橋氏という同じ母を持ち、両人とも川井憲次楽曲をバックに活躍……これはもう虎4とシャンプーは「姉妹」と言っても差し支えないのでは?(苦笑) 
閑話休題
平井ファンだったことを公言していた高橋氏、菊池秀行氏、夢枕獏氏、七月鏡一氏を始め、多くの後進に大きな影響を与えたという点でも、平井先生が日本のエンターテイメント界に遺した足跡は巨大なものだったと筆者は思います。また筆者はプロの書き手ではありませんが、文章の書く際の心構えを平井先生の著作から学びました。

平井先生のご冥福を心よりお祈りいたします。合掌。


【補足情報〜ウルフガイ・ガイド】
※本作はビデオ、レーザーディスクが発売されたものの、現在では廃盤。DVD、BD化はされていません。
※本作はシリーズ第二作『狼の怨歌』、第三作『狼のレクイエム・第一部』、第四作『狼のレクイエム・第二部』を映像化したものです。シリーズの第一作であり、本作の前日譚は、実写映画『狼の紋章('73)』(監督:松本正志、音楽:眞鍋理一郎、主演:志垣太郎)として映像化されています。


※本作ラストのアナザー・バージョン(コメディ寄り)が収録された1冊。本作のラストに納得がいかなかった方はご一読を。


※本作の後日譚は、『黄金の少女(全5巻)』『犬神明(全10巻)』で読むことができます。