ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

ミニパト

 たか厨@けんじけんです。
 今回のお題は、劇場用短編アニメ『ミニパト』です。

原作:ヘッドギア
監督:神山健治(第1回監督作品)
脚本・音響プロデュース・演出コンセプト:押井守
キャラクターデザイン・作画:西尾鉄也
音楽プロデューサー:石川吉元
音楽制作:AUBE
音響監督:若林和弘
制作:バンダイビジュアル東北新社プロダクションI.G
キャスト:大林隆之介池水通洋千葉繁榊原良子
公開日:2002年3月30日(『WXIII 機動警察パトレイバー』の併映作として、全3エピソードの内のいずれか1本が、劇場ごとにシャッフルされて上映)

 本作のサントラは20曲収録で、全て作編曲は川井さんです。サントラのトータル・タイムは35分19秒。内1曲が主題歌『果たし合いカナ?』の本編未使用のカラオケ(3分27秒)で、それを差し引くと32分弱。映画本編が33分ですから、ほぼ全編に音楽が流れている計算になります。

 筆者の一番のお気に入り曲は、『三十七粍機動速射野砲カナ?』ですね(粍の読みは「ミリ」)。
 4分20秒と本サントラの中では最長を誇る曲です。
 本曲が使用された第1話『吼えろ リボルバーカノン!』(本編12分40秒)では、後藤隊長による、侵徹弾道学のウンチクが始まると同時に本曲が流れ出し、ラストシーンに至る後半三分の一を音楽的に支えきります。
 倦怠感あふれる曲調が、ぬるま湯に浸かっているようで、個人的には何とも心地の良い曲です。
 曲が1分を超えると、アグレッシブな三味線風の弦の音が入り、曲調がにわかに活気を帯びますが、これは太田自身(笑)による弾道実験が最高潮に達したシーン合わせになっていて、すぐ沈静化します。
 そして、けだるい曲調のまま、2分50秒を迎えると、突如、『Theme of Patlabor 2』のモチーフが現れます。『Theme of〜』は『機動警察パトレイバー 2 the Movie』のタイトルバックを飾った名曲です。そのモチーフが、本曲ではゆったりとしたイージーリスニング風に編曲されていて、これまた気持ち良く、曲に浸(ひた)れます。
 曲が4分頃になると、『パーラパッパ〜』とラッパ風味の響きが高らかに奏でられ、ドリフのようなドタバタなオチを迎える本編を見事に締めくくってくれます。
 
 次に印象的な曲は、映像と共に聴くと、爆笑必至の『涙の高速艇、出漁す』(第3話『特車二課の秘密』で使用))ですね。本作では音響プロデュースも担当した押井守氏が「軍艦マーチのイメージ」を想定していたところ、その予想の斜め上を行くテイストの本曲が川井さんから提出され、大ウケだったという曲です。

 他に本作の音楽で外せないのは、何と言っても『Ending』……スタッフ・クレジットに流れた曲ですね。21秒と短いですが、川井さんの遊び心が集約された最高の1曲です。
 ここで、ちょっと思い出話。
 筆者が本作を初めて観たのは、2001年10月30日に東京国際映画祭の一環として行われた「押井守レトロスペクティヴ/スペシャルイベント『All About Mamoru Oshii〜押井守トーク&映像作品上映』」という特集上映の折でした。この『Ending』が流れ終わると、場内が一瞬、呆然とした後、続けて爆笑が巻き起こりました。
 ……しかし、今更気づきましたが、本作は早10年以上前の作品。
 今回のブログで、その存在を初めて知ったという方もいらっしゃるかもしれません。ですから何故「場内爆笑」になったかを解説すると、本曲のネタバレになってしまいますね。なので、ここはヒントだけ。やはりコアな押井ファンでないと、足を運ばない類のイベントだったので、観客のほとんどが押井監督の劇場版『パトレイバー』2本を基礎教養として観ていたはず……だからこその笑いだった、ですかね。
 ですから、もし本作をまだ観たことがないという幸運な方、もしくは『パトレイバー』関連はまだ1本も観たことがないという方は、ぜひ押井監督による『パトレイバー』の劇場版1作目と2作目(余裕があるなら、更に映画の前日譚に当たる初期OVAシリーズ『アーリーデイズ』6本の内の、どれか1本でも)をご覧になった上で、本作を手に取ってみて下さい。お話の内容的にも、音楽的にもそれを前提とした仕掛けが施された作品ですから。
 それでは未見の方が、本作での川井さんのノリノリの仕事に、爆笑できる日が来ることを祈りつつ、筆を置かせて頂きます。 
 ではまた。
 本年もよろしくお願いします。