ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

イメージ・アルバムの世界・序論

 たか厨@けんじけんです。
 さて、今回は小説やマンガの世界観やキャラクターたちを、オーディオ・ドラマやイメージ・ソングやインストゥルメンタル(以下インスト)など、”音だけ”で表現した『イメージ・アルバム』について取り上げます。
 川井さんも10作ほど手掛けておられます。
 ザッと発売順に挙げてみると


【マンガ】
・『ドラゴン・フィスト オリジナル・アルバム』'89.06.21発売
 (歌&インスト/川井さんは収録曲10曲[歌4曲とインスト6曲]の全てを担当)


・『八神くんの家庭の事情 PART3』'89.12.21発売
 (ドラマ&歌/川井さんは15秒程の歌1曲を提供)


・『聖伝・RG VEDA(リグ・ヴェーダ)ドラマ編』'90.07.21発売
 (ドラマ&歌&インスト/川井さんは歌2曲とインスト2曲を提供)


・『宇宙英雄物語 VOCAL COLLECTION 燃えるマイスタージンガー!』
  '94.03.24発売
 (ドラマ&歌/川井さんは歌1曲を提供)


・『WILD HALF ドラマ・アルバム Encounter1〜3』'98.01〜05発売
 (ドラマ&歌&BGM/川井さんはBGM10曲全てを担当)



【小説】
・『聖痕者ユウI 薔薇のストレンジャー』'89.04.29発売
 (ドラマ/川井さんはBGM全てを担当)※カセット文庫 


・『魔獣戦士ルナ・ヴァルガー 主題歌全曲集』'90.10.21発売
 (歌/川井さんは歌10曲全てを担当)


・『デルフィニア戦記』'97.06.25発売
 (インスト/川井さんはインスト10曲全てを担当) 

 
 上記に属さない変わり種としては、『機動警察パトレイバー』関係で2枚。
 1枚目は『PATLABOR IMAGE SOUND-TRACK ALBUM Vol.3 INTERMISSION』 ('89.01.25発売)で、すぎやまこういち氏や冬木透氏ら大御所を始め、色んな作曲家に『パトレイバー』のイメージ・ソングを作ってもらったアルバムです。川井さんは歌2曲を提供。

  もう1枚はヒロイン・泉野明をフィーチャーした出版物『live〜泉野明写真集』のイメージ・アルバムである『LIVE』('93.08.01発売)。全曲インストで川井さんは7曲全てを担当しています。


 こうしてみると、川井さんが手掛けたイメージ・アルバムの歴史は'89年の『聖痕者ユウ』に始まり、'98年の『WILD HALF』に終わると言えましょう。振り返ると、およそ10年間限定のお仕事でした。
 勿論、これから川井さんが新たにイメージ・アルバム製作に携わられる可能性もなきにしもあらずですが、今のところ、その命脈は14年間絶えて久しいわけです。
 あれあれ?……「少し前に、このブログで取り上げられた『Fate/stay night』のキャラクター・イメージ・ソングは、どうなの?」という声が聞こえてきましたが……。あれは川井さんがテレビアニメ『Fate/stay night』本編の音楽を手掛けられ、キャラクターや世界観を十二分に把握された後で作られているので、いわゆる筆者の考えるイメージ・アルバムとは少し違う気がするのです。  
 筆者の考えるイメージ・アルバムとは、「まだ誰も音で、その作品の世界観やキャラクターを表現していない無人の荒野に、果敢に斬り込んでいく、斬り込み隊長」みたいなものでしょうか。
 昔は、よほどの人気マンガや小説でないと、アニメ化が難しい時代が確かにあったのです。
 そんな時代に、アニメ化よりはビジネス的にリスクが少なく、コアな原作ファンが購入してくれれば採算が成り立つニッチな商売として展開されていた……それがイメージ・アルバムの本質じゃないだろうかと筆者は思うのです。
 そして万が一、イメージ・アルバムの売れ行きが好調なら、テレビアニメ化よりはリスキーでないオリジナルビデオアニメ化という流れが1990年代から2000年代にかけては、よくありました。
 しかし近年ではイメージ・アルバムという段階を経ず、いきなり「こんなマイナーな原作がテレビアニメ化されるの?」なんてことが、ままあります。
 少し人気が出たマンガや小説は、すぐにドラマCDが作られて、それが原作の掲載誌に付録として付けられたり、そのキャストがアニメ化の際には、そのままスライドするということすら、珍しくありません。
 キャスティングも比較的に適切に行われたオーディオ・ドラマが多く、いわゆる「ハズレ感」はなくなったのですが、かつてのイメージ・アルバムが持っていた「混沌とした、猥雑なエネルギー感」みたいなものはなくなってしまったような気がします。 

 例えば、飛鳥時代の物語を全編、シンセイザーで表現するという試みで、「選択楽器の誤りで時代感が出てない」と批判された『日出処の天子』(ひいづるところのてんし)のイメージ・アルバム('91/作曲:伊藤詳)。

 原作の空気感やギャグのテイストを読み違え、さっぱり笑えないボーカル集と化してしまった『県立地球防衛軍』のイメージ・アルバム('85/作曲:タケカワユキヒデ)。
 そんな有象無象もあってこその豊かなイメージ・アルバムの世界だったと思うのですが……。
 最近、「冒険しすぎちゃった」とか、「あさっての方向へ行っちゃった」というようなイメージ・アルバムの存在を聞いたことがありません。


 閑話休題。 
 今回、実は川井さんが手掛けたイメージ・アルバムの中から『ドラゴン・フィスト オリジナル・アルバム』について書くつもりでした。
 理由は、
 1)原作マンガの単行本を持っているぐらいにはファンだったから。
 2)後にアニメ化されているから。
  アニメ版の音楽も川井さんが担当しているので、そちらとの比較も書ければ面白いかな〜と。

 イメージ・アルバム発売後、アニメ化され、やはり音楽を川井さんが、引き続き担当というルートを辿った作品は、他には『ルナ・ヴァルガー』しかありません。ですが、筆者は原作小説、イメージ・アルバム、アニメ、サントラのどれも未体験なので、こちらについては書きようがないんですね。

 しかし、ここに至るまでに結構な字数を費やしてしまいました。
 これから『ドラゴン・フィスト』について、詳細に述べるのは書き手もそうですが、読み手も辛いかと(苦笑)。
 というわけで、今回、ここまでを『イメージ・アルバムの世界・序論』 とさせて頂き、次回(約1ヶ月半後)こそは『ドラゴン・フィスト』について語らせて頂きたいと思います。
 すみません。
 次回もよろしくお付き合い頂ければ幸いです。