「イップ・マン 継承」公開記念トークショー レポ
ガチョピンです。川井さんのお誕生日に催されたトークショーのレポートです。
※多少のネタバレを含みます!! ので、観ていない人は読まないほうがいいかもしれません。
日時:2017年4月23日(日)12:00回上映後
場所:新宿武蔵野館
登壇者:飯星景子さん、川井憲次さん
登壇者の紹介。飯星さん(以下敬称略)は、パンフレットにコラムを寄せています。
飯星「私、言いたいことはほとんどパンフレットに書いてしまったので、今日はインタビュアーとして、お聞きしてみようと思います」と、製作から日が経った今、ようやく公開にこぎつけたことを説明され心境を尋ねる。
川井「完成して丸2年観ていませんね」感慨深げに答える川井さん。
飯星「『週刊実話』にインタビューが載ったんですよね!」と紹介があると、周囲の観客は「『大衆』だよ!」と小さくツッコミ。表紙のぱっと見は似たような感じだから間違うよね、と思っていたら、後に訂正。
川井「そう(笑)。始めのところにおっぱいの袋とじがあって……。もうおっぱい祭りで(笑)。こう、載っているページを探してパラパラ観ていたら、ウチのスタッフに、写真撮られて。もう完全にエロオヤジ(笑)後ろのページですね」
飯星「それがSNSに上がってるなんてことは」
川井「あるわけないじゃないですか!(笑)」
場内は笑いに包まれる。。。
飯星「音楽を付けるときは、完尺(かんじゃく)だったんですか?」
註:完尺=規定のフォーマット通りの尺(時間)になった事。
川井「完尺ですね。完尺のフィルムを観て、付けました。CGとかはついていないですけど、大体のアクションは観られますね」
飯星「完尺と言いつつ、後から編集する監督は居るんですか?」
川井「居ますね。誰とは言わないですけど(笑)。大幅に伸びたり、切られたり……」
飯星「ウィルソン・イップ監督はどうですか?」
川井「完尺は完尺。守る人ですね」
飯星「今作では、前2作と比べてどういうところを気にされました?」
川井「時代の変化ですかね。少しずつ(作品世界の時間が)現代に近づいていっている、というところですね。1作目は中国の古い楽器を使って。二胡とか」
飯星「2作目はそれを踏襲する形ですよね」
川井「今作はそんなに変わっていないですね。苦労したのはダンスシーン。その時代の雰囲気を出すのが難しかった。イップマンと奥さんとの甘い感じとか。撮影中は『(ドリス・デイの)Tea for tow(邦題:二人でお茶を)』を当ててやったらしいんですけど『それ、使っちゃっていいの?』って訊いたんですよ。そしたら『大丈夫大丈夫!』って。でも直前になって『(曲を使っては)ダメになったから作って』って急に(苦笑)」
飯星「香港の人は権利に疎いですからね」(場内は含み笑いに包まれる)
飯星「ゴーゴーダンスみたいなところもでしょうか? (全部で)何曲ぐらい作られたんですか?」
川井「そうですね。ロックンロールな感じで、というオーダーがありまして。んー、何曲だったかなぁ……」
飯星「マネージャーさん、マネージャーさん!(と、袖に控えているマネージャーに尋ねる)30曲ですって!」
川井「それぐらいかも(笑)」
飯星「監督はどんな方なんですか?」
川井「音楽のセンスの良い人。『このメロはここから当てて』と明確な指示ができる人。(2作目で)『1作目の曲を戦いの場面で使えないか』とか。僕にそのつもりはなかったんだけど、言われてみて『あ、そうか』と初めて気がついたんです。2作目だったかな、監督がデモを聴いて『勝った後の音楽をもっと盛り上げたい』と仰るんです。弟子たちに肩車されるシーンですね。『もっとお祭りみたいな曲にして欲しい』とオーダーを受けまして。急遽作ることになって。ウチの事務所の3階で待っててもらって、その間に作りました」
飯星「それはスゴイ。え、でもそれって、イチからではないですよね? 作り直した、というか? どれくらい(時間が)掛かったんですか?」
川井「1時間半くらいかな」
飯星「気持ちがこう、あわ立つような曲ですよね。今回もそういうところはあったのでしょうか」
川井「大事なのは家族、ということですよね。ラストの家族写真とかモンタージュのところをおとなしめに当てていたら『もっと明るめの曲を』って」
飯星「そのときは3階で待ってもらって?」
川井「いいえ(笑)。翌日監督に来て聴いてもらって。『そう、これこれ!』って喜んで下さった。このときも『あ、そうか』と気づいたんです。盛り上げたいのは監督のセンス。(イップマンの妻が亡くなって)僕は落ち込んでしまうんですね」
飯星「どういう風にアクションを受け止めて作曲なさっていますか?」
川井「アクションをするには理由がある。それが、怒りや悲しみ、背負っているものがある。それらが見える曲にしたい。イップ・マンは、淡々と戦う。だからかな、≪戦い≫ではない。うまく言えないですけど。イップ・マンの風格を意識した曲作りにしています」
飯星「大きく貢献してますよ!」(場内拍手)
飯星「イップ・マン以降のカンフーモノは、川井サウンドっぽいものが多いんですよね。それまでは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』を意識したような曲ばかりだったのに。流れを変えたというか。それくらい川井さんの音楽は素晴らしい。いくら言っても良い足りない。時に、サントラは出るんですか?」
川井「出ません」
飯星「え? それはナゼ? どうして?」
川井「サントラを出す、出さないは映画の製作会社が決めるんですよ。ただ、作曲家が「出したい」と言えば、叶うこともある、みたい。よくわかんないんですよね(苦笑)」
飯星「スペインやフランスからは『出したい』という声を聞いているんですけど」
川井「でも僕は関係なくて」
飯星「映画会社とレコード会社、天馬電影のレイモンドに言ってみたら?」
註:プロデューサーのレイモンド・ウォン氏のこと
飯星「ヘンリー・ライって方は、自分の曲をネットで販売していますけど、川井さんは?」
註:ヘンリー・ライ=香港映画の作品で音楽を手がける作曲家。
川井「やってません。協力者が居れば、ですけど」
飯星「うち、ホリプロですけど。やりましょうか?」
川井「後で話しましょうか(笑)」(場内は含み笑い)
川井「ちなみにですね、天馬電影のロゴの曲。あれ、僕が書いたんですよ」
飯星「ええええええ!!」(場内ざわつく)
飯星「エレベーターのシーンの曲、良いですよね〜。マエストロのモチーフが活かされていて」
川井「ありがとうございます。細かい監督からの指示はなく、タイミングの見計らいは、僕でやっています。だから、転調とかは僕任せで。「ここは決まりだ!」のシーンは見つけやすい」
飯星「ポーズを決めますからね(笑)」
川井「止まるからね(笑)ずーっとこう、動きっぱなしじゃないし、ポーズとるしね」
飯星「メリハリは、ハッキリしている?」
川井「そうですね」
と、インタビューはここで一旦終わり。
今日は川井さんの誕生日であることから、飯星さんより川井さんへ花束が渡されます。
そして、ドニー・イエンさんからのお祝いのメッセージを披露。
≪ドニー・イエンさんからのお祝い(要約)≫
こんにちは。川井さんとは長いことお付き合いをしています。『修羅雪姫』で知り合いました。川井さんの仕事には信頼をしています。『セブンソード』のツイ・ハーク監督から、川井さんを紹介されて、今に至っております。僕の作品には情熱が必要だから、川井さんが適任なのです。イップ・マンシリーズの4にも川井さんが音楽を付けてくれるのを願っています。お誕生日おめでとうございます
≪ドニー・イエンさんからの観客の皆さんへ(要約)≫
鑑賞していただき、ありがとうございます。誠実な応援に感謝。みんなに会いたいです。ファンミーティングのようなものが開催できれば、と思います。この作品を気に入ってもらえたら、うれしいです。
トークショーレポ おわり。
・トークショー登壇の飯星さんは、日本テレビのワイドショー『ザ・ワイド』のキャスターだったことに話題が。
※ザ・ワイド(日本テレビ・読売テレビ)にて草野仁氏と共同司会を務めていました。(1993年4月 - 1996年3月)←地下鉄サリン事件の中継で見かけたかなぁ。。。
・『週刊大衆』を、川井さんインタビュー掲載で生まれて初めて買った(笑)ことや「インタビュー内容は(表紙とは裏腹に/思ったより)割りとしっかりしている!」と好感触の話題に。
『イップ・マン』シリーズを取り上げた過去のブログはこちら
・http://d.hatena.ne.jp/kenjiken/20160121
・http://d.hatena.ne.jp/kenjiken/20110313
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