けんじけんブログ

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

『機動警察パトレイバー the Movie』

【作曲家・川井憲次の楽曲について、色々語ってみるブログ/第76回】


どうもタニヤンでございます〜♪
前回から早幾年(←大袈裟)、早くも3回目であります。今回はオーソドックスに『機動警察パトレイバー』の最初の劇場版を今一度鑑賞しながら作品&劇伴の感想等をツラツラ書かせて頂こうと思います。では早速参ります。


冒頭いきなりの『夏の嘲笑』です(笑)。
初期OVAで押井演出or川井サウンドの裏切り演出(いい意味で)を解っていたつもりでしたが、冒頭のこの曲この展開には正直驚きました。ロボットアニメの劇場版ですから悪の組織が出て来ると思うじゃぁないですか!?(←偏見ですが)、それが初っ端からあのニヒルな笑み、そして静かな落下、背景にはあの音楽、スクリーンに引き込まれるなって方が無理な話でございます(笑)。


後に続くハイテンポで重厚な『へヴィ・アーマー』から軽快な『暴走事件』へと続くのが小気味良いですね。この2曲はイメージが対になっていて、いずれもこの映画のテーマとなる事件性を観客に説明するシーンになっています。『暴走事件』の方が軽快なのは第2小隊のキャラクター説明をも担っているからでしょう。川井さんの本領発揮という感じで気持ちが良いなぁ。


『夏の嘲笑』で反応したアタクシが「この映画・・・・・・ヤヴァイ(汗)」と確信したのが次の『虚栄の街』のシークエンスです。この映画を鑑賞された多くの人がこのシーンに魅せられ、以後押井&川井作品にズブズブと・・・・・・(笑)。同様に原理主義的思考に埋没し現在この様な文章をツラツラ書くに至るアタクシも・・・・・・。
(嗚呼、業が深い(涙))


遊馬が篠原重工のコンピュータ室に不法侵入してシステム大混乱に陥れたシーンで流れる『HOS』、こういう曲を聞くと「川井さん上手いなぁ・・・・・・」と。「混乱」の表現が非常に秀逸な曲だと思います。
(別作品で『紅い眼鏡』の下痢のテーマ『Diarrhea』も・・・・・・ね)


いよいよ大詰めに向う畳み掛けシークエンス、ムサイ男二人でPCをいじる久保商店の下宿です。背景には川井さん得意の緊張サウンド『共鳴』です。見事と思うのは徐々に緊張感を増していく楽曲を背景に画面でも雪崩を打って解析が進むところ、しかも暴走のトリガーが、最初っから見せていたアレだってのがメチャ痺れました。


福島課長の悲痛な嘆きと遊馬の軽快な宣言を皮切りに雪崩込む出撃シーン、流れる楽曲は『出撃命令』そして『海へ』。最早お約束シーンであり、ここに至るまでの説得力を果たしてどれほど持たせられたかが映画の成否に掛かってきます。この作品では打ち震える感動を持って戦闘準備となる訳です。
この時ばかりは太田さんに全幅の同意であります(笑)。


『突入』、壮絶な戦いが何故こんなにもワクワクするのか? そして、あんなにも可愛らしいガードロボットの破壊が何故こんなにも爽快なのか?  
(やっぱり業が深い(涙)(涙))


大詰め真只中に川井サウンドではお馴染みのブブブもの『ID:666』(単調な音の繰り返しで場の雰囲気を盛り上げる楽曲)をバックに展開する遊馬決断のシーン、初見時ここまでやるかと圧倒されたデスヨ。妥協ねぇな・・・・・・と。


『方舟』『バベルの崩壊』この楽曲は今後別作品でも展開される映像とのマッチングの妙に痺れるシーンです。特にアップで太田の表情が恐怖に歪むシーン、そして方舟メインシャフト転倒シーン、見直して寒気がしました。メイキングで音響監督の斯波氏も仰ってましたがかっこいいんだけど何か物悲しい、そういった二律背反な事象が画面にも楽曲にも現れていて・・・・・・やっぱ良いですねこのシーン。


最後、大崩壊後の方舟甲板上で対峙する2対のレイバー、暴走する相手をより非力な機体で制止しようとする主人公。一度は相手の抜き手を止めたかに見えますが腕のひねりで転倒させられ、一瞬呆然と海を覗き込む形に……、ここでの彼女の「ん、んんんん!!」という意地を張るシーン、好きなんですよ。
高校時代に初めてこの映画見ましたが、以後何かメゲソウになると決まって頭ん中でこの時の彼女の唸り声が響くようになりました。


そして最後、名曲『朝陽の中へ』な訳です。全てを吹っ切る曲ってんでしょうか? 映画の中で展開された帆場の暗い情熱でとか、方舟崩壊により後退を余儀なくされたバビロンプロジェクトとかそうしたワダカマリを払拭する様に軽快に、爽やかに、戦いに勝利した第2小隊の面々を讃える凱歌として高らかになる楽曲が気持ちよく響くんですよ。
この映画を観て以来エンドロールが終るまで映画館の席を立たなくなりました(笑)。


以上、見直しながら書かせて頂いた『機動警察パトレイバー』記録でございました。 コレ読んで皆さんも今一度見てみたくなってくれれば嬉しい今日この頃であります!!


ではでは!!