けんじけんブログ

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

『けっこう仮面』

【作曲家・川井憲次の楽曲について、色々語ってみるブログ/第77回】

 原作・総監修:永井豪
 監督・脚本:早川光
 出演:後藤宙美、華井すずみ、ポール牧モロ師岡プリティ長嶋
     山本昌平、関根勤
 制作:ジャパンホームビデオ

  全寮制の乙女の園・スパルタ学園……。
 そこは学園長サタンの足の爪とその配下の教師たちによる、『お仕置き』と称した、生徒たちへの日常的なセクハラ行為がまかり通っている恐怖の学園だった!!
 今日もまた『お仕置き』の名の下に恥辱にまみれる少女たち。
 そんな彼女たちのピンチに颯爽と現れるのは、"カオを隠してカラダ隠さず”のポリシーを貫く謎の覆面少女・けっこう仮面だった!!


 たか厨@けんじけんです。
今回取り上げるのは、1991年に発売された実写ビデオ『けっこう仮面』で、サントラは未発売の作品です。
 1970年代、『月刊少年ジャンプ』に連載された永井豪ダイナミックプロによる漫画を原作としており、本作が初の映像化となります。

 川井さんにとっては『デビルマン〜誕生編』『同〜妖鳥死麗濡編』『永井豪のこわいゾーン2 戦鬼』『CBキャラ 永井豪ワールド〜オレは悪魔だ デビルマン』に続いて5本目の永井豪作品となります。

 ハードでダークな『デビルマン』ワールド、チビキャラたちのドジな姿が愛おしい『永井豪ワールド』とは、打って変わって、本作はお色気ムンムンで馬鹿馬鹿しい脳天気な作品です(『永井豪のこわいゾーン2』は、けんじけんで誰一人見たことがない幻の作品なので、詳しい内容は分かりません。が、少なくともこのタイトルで、脳天気な内容ってことはないでしょう)。
 時期的には川井さんは『機動警察パトレイバー』のTVアニメ版の仕事と並行しながら、本作の音楽を担当されたものと思われます。
  

 54分の本作ですが、およそ30か所に音楽が入っていました。ただし「教師たちの蛮行を表現するショック・ブリッジ」や「柔道場で女生徒たちがブラを外す際のリリカルなブリッジ」「けっこう仮面のヌンチャクが股間に命中して悶絶する教師に被さるコミカルなブリッジ」など10秒に満たない短い曲が三分の一を占めています。
 残り三分の二の曲の中では、けっこう仮面登場時に流れる『けっこう仮面のテーマ(唄:成清加奈子)』が全曲流せば、かろうじて1分を超えるかな? という長さで、あとはEDロールで流れる、ピアノを中心にしたさわやかな音楽を除けば1分以上続く曲はありません。 
 筆者は本作をケーブルTVで観賞したのですが、電子番組表の本作の解説には「ぎこちないアクションと健康的なエロスをお楽しみください」とありました(苦笑)。
 全裸になってくれて、でも顔出しはなしで、しかもキレのあるアクションのできる女優さんなんて確保できなかったのでしょう。本当にけっこう仮面役の人(演じている役者は?扱い。声は久野博美)は、ろくにアクションができないので、教師とのバトル・シーンも長くしようがなかったのでしょう。割とあっという間に決着がついてしまいます。よって川井さんと言えば、どうしても『燃えるバトル曲』を期待してしまう処ですが、本作にはそんなバトル曲はほぼ皆無です。
 唯一、終盤でサタンの足の爪の親衛隊が登場し、けっこう仮面を取り囲み、バトルになだれ込むシーンの曲が、躍動感あふれる、イイ感じのアクション曲なんですが、この闘いもすぐ決着してしまうので(笑)、曲の方も1分もたずに終わっちゃうんですね〜。ん、んんんん、残念。
 とはいえ、本作は川井さんのバラエティ感あふれる、色々なタイプの曲が詰まったおもちゃ箱のような作品と言えないこともありません。


 筆者としては、

  • 女生徒を羽交い絞めにし、手術台に押し倒す生物教師のシーンにかかるリフレインの印象的なサスペンス曲。
  • 女生徒たちにセクハラ柔道技を次々と仕掛ける柔道教師を表現したコミカルな音楽。
  • 道教師が柔道着の前をはだけ、股間を見せつけながら、けっこう仮面に迫る時のチンドン屋風の音楽。
  • 公開お仕置きスタートを告げる、実に川井さんらしい軽快な音楽。
  • 剣客・無情の介に付けられた尺八風の音が入った和風テイストの曲。

 が印象的でした。


 惜しむらくは、先にも述べた様に一曲一曲が短く「もう少し聴かせてくれ〜」と
いうところで曲が終わってしまうことですね。 「わ〜、けっこう!!」感嘆の声が漏れる程、音楽を堪能できる見せ場が一つくらいあればなぁ〜と川井ファンとしては、いささか残念に思えてなりません。
 尚、本作の好評を受けて『けっこう仮面2』『同3』が作られていますが、川井さんは参加されていませんので、川井ファンの方はご注意を。


 ※本作は日本映画専門チャンネルで9月16日(金)の26時から放送されます。本作に興味を持たれた方で、視聴環境が整っている方は是非ご覧ください。
 

 ※DVDは単品と『コンプリート・コレクション』(1〜3作目の本編および1作目のメイキング映像を収録)の2種類が発売されています。