ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

オススメの曲『WE ARE CELESTIAL BEING!!』(劇場版 機動戦士ガンダム00 A wakening of the Trailblazer オリジナルサウンドトラック)

【作曲家・川井憲次の楽曲について、色々語ってみるブログ/第26回】


D-01です。
この曲をネタバレなしに書くのは無理なので、これ以降を読む方はご注意くださいm(_ _)m





ミッションスタート!


機動戦士ガンダム00』を象徴する曲を1曲選べと言われれば、多くの人が『POWER』を選ぶだろう。
ファーストシーズンでは本編以外にも毎回の次回予告に使用され、セカンドシーズンでも「とっておき」の使われ方をした。たとえ「メインテーマ」という表記がなくても、ポジション的には、まず「メインテーマ」と言って間違いない。


そのメロディが劇場版では序盤、唐突に流れ始める。
しかし、なんだコレ? ちょっと違和感が。
画面では復活した「あの人」が高らかかに笑い、各モビルスーツ大張正己作画の様な、けれん味たっぷりのポーズで宇宙を駆け、パイロットは熱い台詞を絶叫しながら戦いを繰り広げる。
鳴っている音楽は確かに『POWER』のアレンジなのだが「ちょっと古くさくて大げさなカッコイイアレンジ」……。


ここでふと思い出した。
原曲の『POWER』の主旋律には、二巡目以降に一音だけ音を外した箇所がある。
普通に綺麗なメロディを作れば絶対にそこには配置しないであろう音が一音だけ。


「これは“深い”一音だな」と思った。
そして川井さんにお会いする機会があったときに、思い切ってこの「一音」について質問してみた。
するとこんな答えが返ってきた。


「彼らの戦いは矛盾を孕んでいるので、曲にもどこか違和感を持たせたかったんです。ただ“きらびやかでカッコイイ曲”にはしたくなかったんですよ」


うーむ、流石。
作品のテーマを的確に捉えて形にする「仕事師」の技。
(会話の引用許可、いただきましたm(_ _)m)


……そして話は劇場版に戻る。
そう。このアレンジ版には「違和感のない違和感」を感じる。
あの「外した一音」がない「ただ“きらびやかでカッコイイ曲”」に仕上がっているのだ。
この一連のシーン、実は劇中映画『ソレスタルビーイング』のワンシーンであって、テレビファーストシリーズでの彼らの戦いが美化されて描かれている。
だから曲のアレンジも美化されているのだ。
三間さんの指示か、川井さんの意向か、「音楽的にもそういった皮肉を込める」なんとも憎らしい演出だ。


音楽的にはこんな細かい配慮がされていても、映画全体を見終わってみると「……はたして何を描きたかったのだろう?」という脱力感……。
もしかして冒頭の劇中映画が最大の見所だったのではないか、とも思えてしまう。


だから自分がオススメする1曲は『WE ARE CELESTIAL BEING!!』。
ぜひ『POWER』と比較して聴いてみて欲しい。