ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

『MONSTERZ モンスターズ』

たか厨@けんじけんです。今回のお題は、現在、絶賛公開中の映画『MONSTERZ モンスターズ』です。

監督:中田秀夫
脚本:渡辺雄介
原案:キム・ミンソク韓国映画:『超能力者』)
撮影:林淳一郎
アクション監督:下村勇二
音響効果:柴崎憲治
出演:藤原竜也山田孝之石原さとみ松重豊木村多江
公開日:2014年5月30日
上映時間:112分

中田&川井コンビの劇場用映画では14作目に当たる作品です。特筆すべきは、コンビ作では久々のサントラCDが制作されたことでしょう。『怪談』('07)以来、実に7年ぶりのCD発売です。コンビの前作『クロユリ団地』('13)のサントラはネット配信のみでしたので。
サントラ不況が叫ばれる中、きちんとCDという手に取れる形で、発売してくれたVAPさんには感謝の言葉もありません。


本作は、ある特殊な能力を持った二人の青年が互いの存在を賭けて、死闘を繰り広げる……というストーリーです。
こう書くと、アドレナリン全開の痛快なアクションが展開され、音楽も、きらびやかで派手なバトル曲が何曲もある作品……と思われるかもしれませんが、違います。
戦いは凄惨を極め、青年たちが味わう肉体的な苦痛と心の痛みが、観客にも伝わって来るような映像が続出します。
そこに付けられる音楽が、陽性で、血沸き肉踊るようなメロディであろうはずがありません。
望まぬ力を持って生まれてしまった青年たちの悲劇を、彼らの戦いの宿命を静かに、そして哀しいまでに痛切に、聴く者に訴えかける楽曲ばかりです。

サントラのライナーに掲載された川井さんのコメントによると、中田監督からのリクエストは「アクの強いテーマ曲が欲しい。そのテーマ曲を何回も繰り返し使いたい」だったとのこと。
これは、長年、コンビを組み、深い信頼関係で結ばれている中田監督だからこその注文だったと思います。
「一本の映画の音楽世界を支え切れるだけの力強いテーマ曲を、川井さんなら書ける」という強固な確信がなければ、頼めなかったはずです。
果たして川井さんが、苦心の末、書き上げたのは、観客の耳に鮮烈な印象を残す、哀切なテーマ曲でした。
川井さん自身の演奏するギターが哀愁を帯びた主旋律を奏で、それにチェロなどが色を添えたテーマ曲……。そのモチーフは、映画の中でアレンジを変えながら、執拗に反復され、聴く者の心の奥底にまで響き渡ります。
本作の音楽は、中田&川井コンビの一つの到達点だと思います。
その成果を是非、劇場でお確かめ下さい。
なお本作はエンドロールにも川井さんの楽曲が流れます。その曲にも当然、テーマ曲のモチーフが組み込まれており、最後までたっぷりと映画本編の余韻に浸(ひた)ることができる配慮がなされています。ご堪能あれ。
そして、もし本作の音楽が琴線に触れたのなら、サントラを入手し、今度は映像なしで、本作の音楽世界へ旅立たれてみてはいかがでしょうか?


★映画の公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/monsterz-movie/index.html