ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

『NHKスペシャル シリーズ遷宮』『NHKスペシャル 二つの遷宮 伊勢と出雲のミステリー』

たか厨@けんじけんです。 
今回のお題は、お正月に放送された『NHKスペシャル シリーズ遷宮』全2回と『NHKスペシャル 二つの遷宮 伊勢と出雲のミステリー』です。 

◆『NHKスペシャル シリーズ遷宮
『第1回 伊勢神宮 〜アマテラスの謎〜』
2014年1月1日放送  
ナレーション:伊東敏恵平泉成
アニメーション監督:尾崎八美代
アニメーション制作:ROBOT
音響効果:滝澤俊和
ディレクター:池田由紀 岩崎美樹
プロデューサー:伊藤純


『第2回 出雲大社 〜オオクニヌシの謎〜』
2014年1月2日放送  
ナレーション:伊東敏恵
神話朗読:平泉成
アニメーション監督:加藤隆
アニメーション制作:ROBOT
演出:鈴木英雄
音響効果:米田達也
ディレクター:八木真 
プロデューサー:伊藤純


◆『NHKスペシャル 二つの遷宮 伊勢と出雲のミステリー』
2014年1月4日放送 
語り:三宅民夫
アニメーション監督:尾崎八美代、加藤隆
アニメーション制作:ROBOT
音響効果:滝澤俊和
ディレクター:伊藤敏司、渡辺隆文
プロデューサー:伊藤純

千年の時を超えて、遷宮の儀式が執り行なわれてきた伊勢神宮出雲大社を特集した番組でした。
川井さんのクレジットは、『NHKスペシャル』ではお馴染みの「テーマ音楽」です。このクレジットの時は、番組冒頭とエンドロールを彩るテーマ曲は川井さんの書き下ろし曲で、番組中に流れる音楽は、過去に川井さんが手掛けた曲や作曲者不詳の曲というのが通例です。しかし今回は番組中に流れた曲の中にも、川井さんの新曲があったようですが、詳細は不明です(あぁ、サントラさえ出てくれれば分かるのに……)
なお、けんじけん調べでは、川井さんが担当したNHKドラマ『七瀬ふたたび』からの流用が今回、確認されています。

川井さんが本番組のために書き下ろした音楽の幾つかについて触れましょう。
『シリーズ遷宮』冒頭には、まず40秒ほどのピアノ曲が流れます。「これで単独の曲だ」と筆者は思いこんでしまったのですが、後日放送の『二つの遷宮』を見て、テーマ曲の冒頭部分であったことが分かりました。短いながらも、テーマ曲のメイン・モチーフが織り込まれているのは見事です。控えめなタッチで演奏され、触れたら、こわれそうな繊細な印象を受けます。このピアノの部分は、『伊勢神宮』の回、『出雲大社』の回の両方ともに、近隣の豊かな自然と空撮で捉えた、それぞれの建造物の映像の後、番組タイトルの『遷宮』が白地に黒い筆文字で登場するまでに流れ、画面に清新な印象を与えていました。
タイトルが出た後、両方の回とも、それぞれの建物で行なわれている儀式や祀(まつ)られている神様の紹介が始まると、シンセイザーの音がゆるやかに流れ出します。そこへ薔薇あやこさんによるスキャットが加わり、寄せては返す波のように、ゆったりとテーマ曲のメインモチーフが繰り返され、得も言われぬ神秘感を醸成していました。スキャットが最高潮に達したところで、『第1回 伊勢神宮』『第2回 出雲大社』のサブタイトルが登場し、曲がぴったりと終わるという趣向になっていました。音楽が活かされた、抜群の導入部です。
あと余談ながら、実際の儀式の取材映像に被せて、このテーマ曲が流れる場面があるのですが、儀式の雅楽の音の邪魔にならず、違和感なく聴ける辺り、計算されているなーと思いました。メロディを雅楽の曲に合わせてあるんでしょうか? 作曲の妙に、ある種の凄みすら覚えました。

ここで脱線。このテーマ曲ですが、雰囲気には『機動警察パトレイバー 2 the Movie』の『Unnatural City』(『I』と『II』があります)に通じるものを感じたのは、筆者だけでしょうか。『Unnatural City』も人の声(こちらは男声ですが)が入り、印象的なモチーフがゆるゆると反復され、神秘的な雰囲気を醸し出しているところなど、共通するものがあるかと……。片や東京という爛熟した大都市の情景に流れる曲で、片や神宮や大社という神のおわす建造物に付けられた曲という辺り、好対照というか、陰と陽にも思えるのですが。

閑話休題
3本の番組のエンドロールに流れたのは、やはり薔薇あやこさんによる朗々としたスキャットを交えたテーマ曲でした。
伊勢神宮』で流れたバージョンは途中でスキャットが退くと、篳篥(ひちりき)の古式ゆかしい音が流れ、悠久の昔へと想いをはせさせてくれました。締めにピアノが弾かれて、曲は終わります。
出雲大社』と『二つの遷宮』に流れたバージョンは、篳篥の音は流れず、スキャットが響き続け、神秘的な雰囲気を残したままフェードアウトして終わります。
どちらのバージョンからも古代日本の神聖な息吹すら感じられました。千年以上の過去と現在を繋ぐ番組の締めくくりには、正にふさわしい曲だったと言えるでしょう。
新年早々、良い曲を聴けて、幸先のいいスタートを切れそうな気分になりました。
いささかオーバーな表現になりますが「川井さんの新曲を新年早々、聴ける幸せ。日本人の幸せ、これに尽きる」ですね(笑)

「1月も半ばを過ぎて、何を今更……」な感もありますが、本年もけんじけんをよろしくお願いいたします。


※本日25時50分から、NHK総合で『NHKスペシャル シリーズ遷宮』の2回分が放送されます。もし今回のブログを読んで、番組に興味を持たれた方がいらっしゃったら、是非、ご覧になってください。