ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

オススメの曲 『百禽』(めざめの方舟 Original Soundtrack)

【作曲家・川井憲次の楽曲について、色々語ってみるブログ/第15回】


どうも、ももんがです。


かつては 「川井音楽で一番好きな曲は?」 と訊かれても、「そんなの決められる訳がない」 と思ったものです。
今は間髪を容れず 『百禽』 と答えます。これをオススメしないことには、どうにも落ち着きません。
しかし 『百禽』 を語るには、万博での体験抜きには語れないので…。

愛知万博の思ひ出

めざめの方舟』 は、2005年に開催された愛知万博愛・地球博」 のパビリオンの一つで上映された、押井守総合演出の映像作品。『青鰉』(魚)・『百禽』(鳥)・『狗奴』(犬)の三パターンが二ヵ月ごとに上映されました。


万博が始まっても悠長に構えていた私は、第一弾の 『青鰉』 を逃してしまいました。なので、いきなり 『百禽』 を観た(聴いた)訳です。
以前、私は 「K-TREASURE」(けんじけん同人誌) で 「『めざめの方舟』 はアルバム全体で一つの作品だ」 と書きました。それでいくと、いきなりクライマックスにあたる 『百禽』 を体験してしまったのです。その衝撃の大きかったこと。


その当日、散々待って整理券を貰い、休む日陰もない万博会場から涼しいパビリオン内へ。足元には水中を泳ぐ錦鯉の映像。ご〜んご〜ん…と 『Intermission』 の厳かな鐘の音。なんだか、もうそれだけで彼岸が見えてきましたよ。


本編が始まってすぐ、迫力ある太鼓に圧倒され、ストリングスが加わったところでもう泣きそうです(まだイントロ部分)。
「アリーナ」 に居ると、まさに全身で音を浴びている感じ。音の振動を感じながら、半ば放心状態で映像を見つめ続ける…。
私の中での 『百禽』 は、この体験込みで 『百禽』 たり得ていると思われます。


「K-TREASURE」 のレビュアー紹介に 「墓に持って行きたいアルバム」 という設問がありますが、『百禽』 はさしずめ 「告別式で流して欲しい曲」 ということになりましょうか。法事でも 「ご詠歌」 の替わりに流して欲しい。
私のぉ〜お墓の前でーーながして下さい〜♪ それなら迷わず成仏できそうです。


なんとか国立科学博物館で再現できないものでしょうかねぇ。<人形はともかく、映像と音楽で。

◆ 『百禽』 の魅力

『青鰉』『百禽』『狗奴』 に共通する大きな特徴は、川井さんご自身による大和言葉の詩と、西田社中による民謡コーラス。
GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』 は3人の歌声を何度もダビング、『イノセンス』 は75人の大合唱でしたが、今回は7人。声色も適度に多様で、『イノセンス』 の一種異様な雰囲気もなく、個人的にはちょうどいい頃合いの人数ではないかと思います。


めざめの方舟』 の中でもなぜ 『百禽』 をオススメするかというと、力強い太鼓とストリングス、迫力とスピード感が大好きなのです。特に終盤の、民謡コーラスに寄り添うように奏でられる高音ストリングス。
2007年に行なわれたコンサートのラストを飾った 『百禽 Hyakkin (Reprise) 』 ではそれが存分に楽しめます。中盤の間奏部分ではストリングス全開です。


そんな激しい曲調の 『百禽』 ですが、8分40秒もある長い曲ですので、中でメリハリもついています。
穏やかな曲調になり 「雨は降れど鳥は吟ひ 風は吹けど花は咲く」 という歌詞で少しホロリとしてしまうのですが、徐々にテンポが速くなって元の曲調に戻るところの和太鼓とパーカッションがカッコイイ。


…そう、和太鼓。和太鼓なんですよ。民謡コーラスに和太鼓。なのに和風ではない。じゃあ、何風かというと、川井風なんですよ。
攻殻』『イノセンス』 の音楽は全く新しいもの…という感じで川井節を感じなかった(今となっては川井節の一部)のですが、『めざめの方舟』 では同じ系統でありながらも川井節が強く出ていると感じました。
う〜ん、上手く表現できないのですが、前者はあくまでもストーリーのある作品に対する劇伴なのでソッチ寄り、後者はメッセージはあってもストーリーのない作品に対する音楽なので、川井さんっぽさが盛りだくさん。その川井さんっぽさが、私のハートをキャッチキャッチキャッチ!(ルー大柴風)なのですよ。
「川井さんっぽさ」 ってなんだ? という根本的な問題については、いずれそのうち。精神的に。<えーー!


攻殻』 で誕生した新たなジャンルが 『イノセンス』 を経て、新たな川井節へと変革! 進化し続ける民謡コーラスシリーズにご期待下さい。


  

めざめの方舟』 DVDを買ったあなたは 「パビリオン制作スタッフクレジット」 も観(聴き)逃すな!


と、『百禽』 の魅力を必死に言語化してきましたが、イマイチ伝えきれない感じが拭えません。「好き」 とかいう表現では物足りない、なにかこう魂に訴えかけてくるものがあるのです。
私は 『百禽』 一曲を無限ループで聴き続けても飽きません。むしろ瞑想状態に陥りそうです。魂がどっかに引っ張られるような感覚。正に成仏してしまいそう。「告別式に流して欲しい」 由縁です。