けんじけんブログ

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

品川アーティスト展2016

品川区民のガチョピン@けんじけんです。

9月18日に開催された「品川アーティスト展2016」の「しながわの音風景」というトークショーに川井さんが登壇されました。


主に川井さんの発言を抜粋し、補足解説いたします。

司会:生活の光を観る=観光ということで、しながわ観光にスポットを当ててお話しください。


川井:品川神社のお祭りですね。笛、太鼓、お囃子が混ざった瞬間が、郷愁というかエネルギーを感じるんです。
僕はこれがとっても好きで、どこかで生かせないかと考えた末『攻殻機動隊』『イノセンス』へと繋がっていったんです。
お祭りにお越しの際は、笛、太鼓、お囃子の混ざり合ったブレンド感を味わって欲しいですね。

ということで、品川神社のお祭りをプッシュ。ですよね〜。川井憲次聖地巡礼は、やはりなんと言っても品川神社を抜きには語れません。
その後も川井さんの口から超・地元トークが展開されます。

川井:旧目黒川は、僕の小学2年〜3年くらいまであったんです。今は八ツ山(やつやま)通りとなったんですよね。
すごかったよね、ネズミの死骸とか浮いていて。今思うと非常にきったない川だったけど、あの頃に戻りたいですね(笑)

虚空蔵尊(こくぞうそん)の玄関の塀、あの辺の路地は(当時から)あまり変わっていないんですよね。
車が入れないしね。十字路がない。海からの風をよけるため、わざと(直角から)ずらしているんですよね。

虚空蔵尊(こくぞうそん)とは、養願寺(ようがんじ)の御本尊。丑年・寅年生まれの守り神とされています。11月の第2土曜に大祭があり、狭い横丁ゆえに車の出入りがなく、大変な賑わいとなるそうです。京浜急行新馬場駅北口から商店街(サクセス品川)を入り、少し歩いて虚空横丁と呼ばれる路地を左側へ入ると、たどり着くことができます。
ちなみに、このあたりには横丁が多く、住所代わりに使われてきた経緯があります。地元原住民である川井さんならではの語り口ですね。
江戸の当時から町並みに大きな変化がない地域、北品川。路地に十字路がない「辻違い」と呼ばれる、海からの風除けを施した街路の特徴をそのまま現在に残しています。

川井さんの小学2〜3年生頃というと1965〜66年頃で、東京オリンピック後ということですね。一通り街の整備は済んだものの、庶民の暮らしに変化が及ぶ以前の話ということでしょう。
旧目黒川が現在の八ツ山通りになったことが語られていますが、内容が衝撃的(!)。こういう生の証言は印刷物にあまり残らないため、非常に貴重です。
当時の川井少年は非常にエキサイティングな日常を過ごしていたことが伺える貴重なエピソードです。

川井:僕の実家、かつては井戸があったんです。カルシウム分を多く含んでいて、硬水。お茶がおいしかった〜。
旧東海道が電線地中化の時に、骨がいっぱい出てきちゃって。で、工事の人が「江戸時代の骨だから放っておいていい」とか。
女の人の骨で、こう並んでいて。たぶん遊女でしょうね、と。
司会:だから、カルシウム分が多かった?! 
川井:ええー(苦笑)

これまた衝撃的(!)な話題になりましたが、北品川は寺社が非常に多く、路地に迷い込むとお寺に出くわすという不思議な町です。
品川駅周辺にある25のお寺のうち、江戸時代にできたものは3つで、その他の22の寺は江戸時代より前からあったものだそうです。
その多くは東京湾の海難供養や、品川遊郭の遊女を弔う投げ込み寺となり、関東大震災の犠牲者も葬られ、多くの無縁仏が埋葬されています。
また、寺が火事を止める役割も担い、その境内
にあるイチョウの木は、水をためる性質を持ち、防炎効果があるそうです。

川井:品川は物理的に便利。それでいて独特な空気感ですね。海に近いから、海風を感じられるし。
で、空襲に遭っていないんですよね。それは、品川神社の神通力? なのかなぁ。空襲の爆撃弾が海へ流れてしまった、っていいますよね。

空襲に遭っていないゆえ江戸の町並みを現在に残している町、北品川。なるほど、ここで育った川井さんが「情緒感」というものにこだわるのは、納得です。空気感をも感じさせる音楽が紡ぎだされるのは、北品川の雰囲気と川井さんの感性が見事に結び合った賜物だということがよくわかります。

司会:では近況を。


川井:えーと、区立品川学園の、校歌を作っています。ぼちぼちデモ版が出来上がります。作詞はふふふ、ヒミツです(笑)
あ、秋の新番組、科捜研始まります。観て下さい。

武装中学生』に登場する架空の学校の校歌を作った経験のある川井さんですが、遂に現実に校歌を担当されるとは!  どうやら、区立品川学園の校歌を作曲しているそうです。夢のような話で「その学校に入りたい!」とこのニュースを聞いて反射的に私は思ったのであります。

うーん、品川から目と耳が離せないですね。これから行楽の秋。先に出てきた虚空蔵尊のお祭りも近いので、私は遊びに行ってみようかと思います。
生活の光を観る=観光、というところに町歩きの楽しさを見出し、川井さんの仰る「情緒感」の源を探るのも一興でしょう。