ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

オススメの作品『ウルトラマンネクサス』

【作曲家・川井憲次の楽曲について、色々語ってみるブログ/第35回】


オッス、オラD-01。

12月23日公開の『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』で、川井憲次が再びウルトラマンの劇伴を手掛ける。
そこで今回は、川井憲次が2004年に手掛けた『ウルトラマンネクサス』を「ウルトラサウンド」という視点で振り返ってみようと思う。


ウルトラマン』は1966年にスタートした長寿シリーズ。
当然その劇伴にも同じ年月の歴史があり、数々の「お約束曲」が存在する。
基本フォーマットは『ウルトラQ』『ウルトラマン』の宮内國郎が作り上げ、それを受け継いだ冬木透が『ウルトラセブン』を経て『帰ってきたウルトラマン』で完成させた。
川井憲次も楽器の選択や曲調などは過去のウルトラシリーズのイメージを崩していないが、それでいて「川井節」は健在だ。「お約束曲」のいくつかも踏襲している。


シリーズの代表的な「お約束曲」は以下の通り。


◆メイン・タイトル◆
ウルトラシリーズは番組開始時にタイトルを表示することが多く、これに合わせて10〜20秒のファンファーレが流れる。基本的にインストだが、冬木透はタイトル名を巧みにメロディに絡めていた。
ネクサスでも曲名は『メイン・タイトル』。曲調はシリーズの雰囲気を踏襲しているが、メロディに作品名を絡めるということはしていない。


◆ワンダバ◆
シリーズを代表するお約束曲。主に戦闘機の発進シーンで流れる。起源は冬木透が『ウルトラセブン』のコーラス曲に「ワンツースリーフォー」と歌詞を付けたことによる。彼がこの「ワン」の音をとても気に入り、次作の『帰ってきたウルトラマン』で「ワンダバダバ」という繰り返しフレーズに乗せたコーラス曲を制作。これ以降のシリーズでもこれが定番に。
ネクサスでの該当曲は『ナイトレイダー -Scramble-』。所謂ワンダバコーラスは使っていないが、ほぼ毎回の発進シーンで流れる。勇ましい繰り返しのストリングスフレーズと力強いパーカッションのせいか、『ウルトラマンのテーマ』よりインパクトが強い。
筆者が第1話でこの曲を初めて聴いたとき、そのあまりのカッコ良さに(早朝にも関わらず)思わず飛び跳ねたものだ。


◆変身のテーマ◆
ウルトラマンに変身した後に流れる10秒くらいのファンファーレ。
ネクサスでの該当曲は『ネクサス -Appearance-』。ちなみに筆者の携帯電話のメール着信音がこの曲。着信の度に無駄にテンションが上がる。


ウルトラマンのテーマ◆
所謂メインテーマ。主に戦闘の序盤、もしくはピンチからの逆転時に流れることが多いため、明るくノリのいい曲が多い。
ネクサスでの該当曲は『ネクサス -Heroic-』。『ウルトラマンネクサス』は新たなシリーズの方向性を模索するため、大人の鑑賞にも堪え得るダークでハードなドラマが展開された。そして予算の都合上、着ぐるみとCGの制作コストを抑えるために怪獣は1話で倒されず、2、3話の連続ストーリーになっていることが多い。この2つの理由から導き出される結論……それは「ウルトラマンに変身しても怪獣に勝てないことが多い」ということ。だから、明るいこの曲が流れることは少なかったりする……。


◆ピンチのテーマ◆
メインテーマをマイナー調にアレンジした曲が多い。
ネクサスでの該当曲は『ネクサス -Final Fight-』。メインテーマの悲壮感漂うバージョンだ。前述の通り「ピンチ」な展開が多いネクサスは、こちらの曲の方が印象的に使用されてしまう。おかげで「ネクサスは弱い」みたいなイメージを植え付ける結果に……。(川井さんは悪くない!)


そんな感じで、とうとう番組中盤にはウルトラマンの死が描かれる。
そこで新たな少年がウルトラマンの変身能力を受け継ぐことになるのだが、新たなウルトラマンの登場は音楽的にもドラマティックな展開が待っていた!
ウルトラマンのテーマ曲『ネクサス -Voice to Call-』は、これまでのネクサスのテーマと同じテーマモチーフを使用しながらも、まったく異なったアプローチがなされた。それは!なんと!!ダンス曲!!!
「変わった!」「受け継がれた!」
ウルトラマンネクサス』が掲げる作品のテーマは「受け継がれる絆」、それが絵と音による相乗効果で見事に表現され、放映当時筆者は(早朝にも関わらず)思わず(以下略)


残念ながら『ウルトラマンネクサス』のダークでハードなノリは若年層の支持を得られず、物語を短縮しての打ち切り終了となっってしまった。
しかし、これほど「劇伴として成功したウルトラマン」は希だと思う。作品のテーマを音楽的に的確に表現した川井憲次の手腕は素晴らしいものがあった。
未見の方は、ぜひこの機会に! そして過去のウルトラサウンドとも聴き比べて欲しいと思う。