「アレンジに名曲はあるか?」
【作曲家・川井憲次の楽曲について、色々語ってみるブログ/第34回】
…季節のせいなのかテンション低い、えすえすです。
「アレンジに名曲なし」って常々思ってました。
一般的にはリミックスとか別バージョンなどが出るときは大抵売る側の都合であって、収録に余裕はあるけれども新曲がない場合とか実験的で聴き手無視な曲がほとんどでした。そもそもアレンジを変えていい曲になるのならなぜ最初からその編成でリリースしなかったのか、という根本的な疑問もあります。だから「リミックス」とか「〜(○○バージョン)」とか書いてあるとそれだけで否定的な印象をもってました。
…川井さんによるパトレイバーのサントラに出会うまでは!
最初の衝撃は『SCHAFT!』でした。原曲*1は確か歌曲で色モノだったと思いますが、それが『PHASE II』版を聴いたときには(一般的にはこちらの印象が強いと思いますが)本当に衝撃でした。例えるなら、卒業後に見違えるほど美人になった同級生を見たときのような衝撃でしょうか?
前回こちらのブログで話題にした『Night Stalker』も然り。もっとも、僕はTV版よりも劇場版サントラ収録版*2での原曲の主旋律のお株を奪うピアノに心が震えます。例えるなら、お寿司をたべるときネタだけでなくわさびや薬味などの大人の味覚に目覚めたような…すいません、わかりにくいですね。
そして当然、川井さん自身による曲のパロディが楽しい『ミニパト』もそうです。例えるなら…ごめんなさい、そろそろやめときます。
きっと川井さんは楽器の選択から曲の構成・収録などあらゆる場面で何通りもの職人的技術をもっていて、それらの無数の選択肢から劇伴として場面にもっともふさわしいアレンジを毎回選んでいるのでしょう。だからCD化されるにあたって改めて音楽鑑賞用にふさわしく再構成することができるのだと思います。
そう、正しく言うなら「アレンジに名曲なし(※ただし、川井憲次のアレンジは例外)」です。
*1:vol.3 『Intermission』収録。Amazonリンク先に試聴コーナーあり
*2:『1999』収録の『Night Stalkers(Bonus Truck)』