ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

オススメの曲『呪いのビデオ』

ガチョピン@けんじけんです。


近頃めっきり涼しくなりましたね。が、「ホラーは夏限定じゃない! 一年中ウエルカム!」な私が今回オススメする曲は、映画『リング』より『呪いのビデオ』です。


主旋律らしいメロディーはほぼ無しの、4分弱のとても地味な曲です。
深い穴の底で、角材を叩いたような、「コォーン」という乾いた音が響きます。「サウンドエフェクト?」と耳を疑うような「フゥオォーン」と古い家屋の中で聞く、風鳴りのような音が重なります。途中、小さくパタパタと刻むような音が聞こえ始めたと思うと、やっと楽器らしい音色による、ショッキングなメロディーの転調が訪れるのです。


この曲を聴いていて、閉鎖された狭い空間でありながら、奥行きを錯覚するような感覚に襲われます。


不安を感じさせる曲というのは、ゆっくりとしたテンポから、徐々に速くするのかな、と思います。心拍数・呼吸数が上がるイメージでしょうか。
あるいは、ひたひたと迫り来る恐怖との距離に比例するものでしょうか。
そういった点に耳を傾けて聴いてみるのも、また一興です。画面から漂う「雰囲気」をどのようにして「劇伴」という形に変遷させるかを知るのがサントラ鑑賞の醍醐味では、と考えます。


私がこの曲を聴いて思い浮かべるのは、黒くて光沢があって、カサカサと動き回るあの虫です!
(苦手な人は物凄い恐怖を感じるんですよ!)


ヤツと対峙する時のイメージがまさにこの曲です。視界の端に動く物影を見た!「飛んで来たらどうしよう、どう避けよう?」といった気配を感じる状況から、人の心理までも描写しているかのような不思議な曲です。「外」を見ていたのに、いつしか「内」を見ていた、という錯誤感に陥ります。


「正体がわからない」から人は「怖く」感じます。それほど「恐怖」というものは人を惑わせると同時に「怖いもの見たさ」を招く、不思議な魅力を持つものです。そして、この筆舌に尽くしがたい感覚を表現しうるのが、川井さんの凄さであり、魅力なのです。


「怖い」は人それぞれですが、普段はやさしい川井さんのどこから、このような曲が生まれるのかが「よっぽど恐い!」のかな、と思ってみたりします(笑)


この『リング』を皮切りにホラー映画に引っ張りだこになった川井さん。中田秀夫監督と名コンビを組む最新作『劇場霊』が、11月に公開されます。予習・復習に恐怖ワールドを御堪能くださいませ。
http://gekijourei.jp/


蛇足ですが。
「ヤツ」が怖い! と震える川井さんのエッセイはこちらで。http://www.sol.dti.ne.jp/~y-hashi/199410/index.html


「リング」「らせん」