けんじけんブログ

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

『花燃ゆ』メインテーマ e-onkyo music独占先行配信スタート& 川井憲次トークライブ・ ハイレゾ視聴会 レポート(前編)

ライター:こかぶん(twitter : @kokabun)

2015年2月8日、東京・八重洲にあるオンキョーさんのGibson Brands Showroom TOKYOにて、川井憲次トークライブ&ハイレゾ試聴会が開催された。オンキョーさんのハイレゾ楽曲配信サイトであるe-onkyo musicにて川井憲次氏が音楽を担当された『NHK大河ドラマ 花燃ゆ オリジナル・サウンドトラック vol.1』が2月4日にハイレゾ配信開始されたこともあり、その試聴会である。音響機器メーカーさんでの川井憲次氏イベントというのは初めてではなかろうか。
今話題のハイレゾと大河の音楽のお話が聞けるという貴重な機会となる。今回はその模様をレポートする。

トークイベントの開始前に、まずオンキョーさんのスタッフから試聴会場の音響システムについて紹介があった。
今回は以下の構成である。
スピーカー:B&W Nautilus 801
DACTEAC USB AUDIO DAC UD-501
プリアンプ:ONKYO P-3000R
パワーアンプONKYO M-5000R
※プリアンプ部分は筆者のうろ覚えであるので間違えていたら申し訳ない。


会場は50名弱の参加者(抽選で選出)で埋め尽くされていた。スタッフさんから来場者へ「ハイレゾをすでに楽しんでいる人はいますか?」という質問があり、挙手した人は10名いるかいないかという感じであった。


システムの紹介が終わると、トークイベントの司会であるアニメライター・小林治氏が登場。小林氏は最近だと『THE NEXT GENERATION パトレイバー』の特別上映イベントでは毎回司会をされている。今回はアニメ、大河ドラマの垣根を越えて司会をされていたのが印象に残る。
そして川井憲次氏も登場。話は会場にずらりと展示されているギブソンのギターについての話からスタートした。


川井憲次氏とギターの出会い】


司会・小林治氏(以下、小林):ギターがたくさん並んでますね。オンキョーさんのギブソンショールームのようですが。


川井憲次氏(以下、川井):高校へ入る前からギターに憧れていて、ギブソンレスポール・カスタムモデルが欲しくて欲しくてたまらなかったんです。しかし当時価格が40万円ほど、学生の手に入るような代物ではなかったので、仕方なく国産のコピーモデルを手に入れて演奏していました。
ギターにハマるきっかけはサンタナが使っていたからでした。


ギブソンとマーチンとがありますが、明らかに音が違いますね。マーチンならばサイモン&ガーファンクルという感じ。ギブソン倍音がスゴく、音程がつかめないほど。最初からコンプがかかった感じがするんですよ。あと、キャロル・キングを聴いて、どうしたらあの音が出るのか調べていって、行き着いたのがギブソンのJ45だった。「これならあの音が出せるんだ!」と。国産のギターでは残念ながらあの音は出せませんでしたね。


【学生時代のオーディオブーム】


川井:中学生の時に世間ではすごいオーディオブームがあったんですよ。ジャズ系のレコードとサントラがスゴい売れていた時期があった。そのころ自分は、既製のオーディオ機器からスピーカーを取り出ししては「何のメーカーのスピーカーなんだ?」という感じで、オーディオいじりをしていました。そのなかでオンキョーのスピーカーが出てきたことがあり、嬉しかった記憶があります(笑)


ハイレゾについて】


小林:そしてハイレゾですが。


川井:アナログ時代のレコーディングは2インチのテープを使っていました。俗にいう昆布テープというやつです。そこからデジタルマルチになり、SONY PCM-3348を使いました。この時に44.1kHzなのか48kHzを選べましたが、CDと同じ44.1kHzで、みんなレコーディングを行っていました。10何年かはその環境が続きました。


その後、登場したのがPro Tools。Pro Tools | HDを導入しました。音が劇的に良くなったんです。
現状192kHzでの配信はできていないのですが、それはバックアップに時間がかかるからなんですよ。2時間以上は最低バックアップに時間が取られてしまう。また192kHzと48kHzを比べると192kHzは綺麗なのだがガッツがない。ロックなどは48kHzが向いているかもしれません。


小林:ジャンルによって変わるんですね。


川井:あ、ハイレゾの現状に一言申し上げておきたいことがあるんです。現状データファイルでの販売が一般的ですが、DVDなどディスクでのパッケージ売りだと嬉しいですね。何も考えず機器にディスクを入れればハイレゾ再生される手軽さが欲しいかと。あと、パッケージの良さというものもあると思うんですよ。


小林:最近だとBlu-rayディスクでのハイレゾ楽曲販売もありますね。ハイレゾはこれから進化する業界ということでしょうか。


【『花燃ゆ』の作曲家の人選について】


小林:そろそろ川井さんが音楽を担当されているNHK大河ドラマ『花燃ゆ』の話に移りたいと思いますが。NHKでは以前、連続テレビ小説梅ちゃん先生』の音楽を担当されていましたよね。それがあったから今回の『花燃ゆ』のオーダーが川井さんのところにあったのでしょうか?


川井:それは全くわかりません。NHKさんには音響デザインを担当する部署があり、そこのかたに決定権があります。アニメでいう音響監督に相当するところですね。


【大河の音楽制作をされてみて】

小林:大河を担当されて、なにか変わりましたか?


川井:変わったと言えば変わりました。あと、自分が大河を担当するとは思ってもみませんでした。僕が作る音楽は力で押すって感じがしていたので。
大河には決まったやり方、例えばテーマ音楽だとジャン!
と始まり静かになってそこから主メロが始まるみたいなフォーマットがあると思っていましたし。以前の大河の音楽を参考にしながら制作しなければならないのかとも。しかし、そういうことはなかったんです。周りのプロデューサー、ディレクターからは「今までと全く違うものを作りたい」と言われました。気にせずドカドカいってくれてOKですと。最初のデモを提出したときはドカドカ具合は遠慮がちでしたが(笑)
きっと今回はこれで良いんだと思います。


(後編へ つづく)


NHK大河ドラマ「花燃ゆ」オリジナル・サウンドトラック Vol.1 - ハイレゾ音源配信サイト【e-onkyo music】
http://www.e-onkyo.com/music/album/hisn00874/