ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

『tension(雨の夜の警備)』(『機動警察パトレイバー』より)


レグルス@関西人です。地域によっては梅雨入りしたということで、今回は雨をテーマにした曲です。


『泉 野明写真集イメージ・アルバム「LIVE」』というアルバムに収録されています。私、本の実物は見たことないのですが、写真集(写真ではなく当然イラスト集です)『live Noa Izumi photographs』に描かれているイラストをモチーフに作曲されたものです。

曲のタイトル通り「雨の夜の警備」という状況(シーン)を曲にしたもの。OVAやテレビシリーズのアヴァン・タイトルのような止め絵が目に浮かびます。


曲の冒頭からずっと流れている「ポロポロポロポロ……」というのは雨または雨垂れ。断続的に聞こえるエレキの「ウィーン」というのは犬の遠吠えか、遠くで車が走って行くようにも聞こえます。「タッタタタタッタ……」というのは走る特車二課の面々か、バイクの音か……。
解釈は人それぞれだと思いますが、要するに、そのシチュエーションがはっきりと脳内に浮かぶ、というのが素晴らしい。


もちろん『THE DOG'S EAR』(『Kenji Kawai Cinema Anthology』ほか収録)のように、そのまま犬や雨の音をサンプリングで入れることもできたと思いますが、『tension』の場合は逆に、楽器でそのイメージを表現することを選ばれたのだと思います。


ちなみに、自然界の音を曲(楽器)で表現する、という手法はクラシックの時代からある手法ですね。例としてパッと曲名が出てこないのが私の教養のなさを示してますが、ベートーベン作曲『運命』の「ジャジャジャジャーン」というフレーズは雷鳴やドアをノックする音を表現したもの、という話を聞いたことがあります。


個人的には雨の日の夜に室内で(外じゃないんかい!?)聴くのにバッチリな、ムーディな曲だと思っています。