ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

作品紹介『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』

たか厨@けんじけんです。
今回のお題は、現在公開中の日本・韓国合作映画『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』です。

監督・脚本:キム・ソンス
原作:司城志朗『ゲノムハザード』
出演:西島秀俊、キム・ヒョジン、真木よう子、浜田学、伊武雅刀
上映時間:120分
公開日:2014年1月24日

キム・ソンス監督は、2006年公開の長編映画デビュー作である『美しき野獣』でも音楽に川井さんを起用しており、二人がタッグを組むのは今回が8年ぶり、2回目となります。
美しき野獣』は公開日前ギリギリにしか、映像素材が川井さんの元に届かず、作曲のスケジュール調整に苦労されたそうですが、今回はどうだったんでしょうね?(苦笑)

本作は西島秀俊演じる主人公の記憶を巡る5日間の『旅』の物語です。基本的に彼の視点で映画は進み、音楽も彼の行動、心情に寄り添う形で付けられています。彼以外の登場人物のために書かれた音楽はほとんどありません。
冒頭、彼が巻き込まれる不条理な出来事には、背筋がゾワゾワとするようなホラー・テイストの音楽が付けられています。さすがはホラーの担当作の多い川井さんならではの曲で、観客は彼と恐怖を共有することになります。
中盤までは割と抑えた曲調の楽曲が続きますが、友人の部屋に隠れていた主人公が、追っ手に追い詰められて、ある場所へ逃げ出すシーンでは、テンポの良いアクション曲が流れ出します。危機的状況からとりあえずは解放された主人公の喜びと、だがしかし、未だ危険な場所にいるという彼の焦りも伝わってくるスリリングな曲です。合間に入るコーラスも効果的でした。筆者はこの曲に心を鷲掴みにされました。シーンの展開に合わせて作曲されているので、やや唐突に曲が終わるのだけは残念でしたが。
このシーン以外ですと、深夜の街を逃亡する主人公が、追っ手をまこうと広大な螺旋階段を駆け下りていくシーンの曲も、激しいコーラスが印象的なアクション曲で、心に残りました。主人公の動きがスローモーションになると、音楽もそれに合わせて変化していく辺り、川井さんの職人技を感じました。
本作はミステリー映画ですので、これ以降、具体的なシーンを挙げて、音楽を説明すると、ネタバレになってしまうので、詳しい説明は控えます。
映画の後半、主人公の記憶を巡る『旅』は、より過酷な様相を迎えるのですが、音楽は運命に翻弄される彼の心情に寄り添いながら、その『旅』の終わりまでを的確に支え続けます。
なおエンドロールも川井さんによるインストゥルメンタルで、映画本編の余韻に心地よくひたれる仕様となっております。 
惜しむらくは、今のところ本作のサントラの発売予定がないことでしょうか。本作に使用された川井さんの楽曲は20曲以上あると思いますが、それらがアルバムにまとめられないのは、痛恨の極みです。
そういう状況ですので、皆様におかれましては是非、劇場へ足を運んでいただき、主人公の記憶を巡る『旅』へ、川井さんの作り上げた豊穣な音楽を道連れに同行されることをお勧めします。 


【公式サイト】
http://genomehazard.asmik-ace.co.jp/