ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

我が偏愛の一曲『リコのテーマ-Sentiment-』(『ウルトラマンネクサス』より)

たか厨@けんじけんです。
今回のお題は、「我が偏愛の一曲」ということで、2005年3月発売の『ウルトラマンネクサス オリジナル・サウンドトラック2』より『リコのテーマ-Sentiment-』(以下『-Sentiment-』)をご紹介します。

筆者は楽器ではピアノの音色が一番好きです。川井さんの本質はギタリストだと思いますが、美しく印象的なピアノ曲もたくさん書かれています。そんな川井さんのピアノ曲の中で、最も美しく残酷な曲想で、筆者のお気に入りなのが、この『-Sentiment-』です。

斎田リコは、『ネクサス』のシリーズ前半の主役であるナイトレイダー隊の孤門一輝隊員の恋人です。美大生である彼女と動物園でデートをするのが、過酷な状況に置かれがちだった孤門隊員の数少ない安らぎでした。


そんなリコのために書かれた曲は他に、『リコのテーマ(この曲だけ『サントラ1』に収録)』『リコのテーマ-Someday-』『リコのテーマ-Bridge-』とありますが、この『-Sentiment-』は、一連の『リコのテーマ』の中で最も異彩を放つ曲です。
……冒頭から端正な明るいタッチで、リコのモチーフがピアノで奏でられていきます。ですが、曲が始まって20秒を過ぎた辺りで、かすかに不協和音が加わり、「あれっ? おかしいな」と思っている内に、不協和音がどんどん大きくなって圧迫感を増していきます。気がつくと、先ほどまで、優雅に主旋律を奏でていたピアノが、まるで壊れたオルゴールのように同じ旋律を繰り返し連打し続け……曲が悪夢のような様相を帯びてきたところで、ピアノの音は途絶え、最後は不協和音だけになって曲は終わります。
ネタバレになるので、詳述は避けますが、劇中、リコを襲う運命を象徴したような曲と言えます。
わずか1分22秒しかない曲ですが、「この曲、怖い」と、けんじけん内でも当時、評判になりました。
『-Sentiment-』は、特に後半部の冷たさと恐ろしさに鳥肌が立つような曲ですが、それ故にこそ美しい曲だと筆者は思います。冷たく硬質な音色は、正にピアノならでは。そこにシビれます。


川井さんの作った曲には「ギンギン(死語)のロックで始まった曲が、いつの間にか、ド演歌のメロディにすり替わっている!!」というギャグ曲(1997年9月発売『YAT安心!宇宙旅行 サウンドトラック2』収録の『星の舟唄』)がありますが、この『-Sentiment-』も、「可愛らしいピアノ曲が、いつの間にかホラーな曲に!!」という劇的な変化を遂げる点では、『星の舟唄』に共通するものがあります。「ギャグとホラーは紙一重」という例えもありますが、この『-Sentiment-』も少し間違えれば、ギャグ曲になりかねないところを、川井さんの絶妙なさじ加減によってシリアス曲として成り立っているのではないでしょうか。

とにかく万人にはオススメしませんが、『-Sentiment-』は今後も筆者の偏愛の一曲であり続けることでしょう……ウルトラの星に誓って(苦笑)