けんじけんブログ

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

オススメの曲『Expel』(『機動警察パトレイバー』テーマ・コレクション・スペシャル)

ガチョピン@けんじけんです。 

本日のテーマは「『Expel』のこと」です。

この曲の初出は、1991年の『PATLABOR Theme Collection Special』です。『機動警察パトレイバーOVAシリーズ』のサントラとして、最初にリリースされたミニアルバムです。

これはなにを隠そう、私が生まれて初めて手にしたCDでして、個人的に思い入れのたくさん詰まったCDなのです。

当時、「このCDには歌が少ない!」と嘆きつつ、何回も聴き込んでいくうちに、じわじわと楽曲の良さに開眼していったのです。


その中で特に私の心を射止めたのは、『Expel』だったのです。『T・シティ(Rimix Version)』、『バドのテーマ(Rimix Version)』のかっこよさもさることながら、『Expel』に魅了されたのです。


「曖昧模糊とした寂寥(せきりょう)感が漂いつつも、おどけた(?)印象」で、セイタカアワダチソウ繁り、荒涼とした埋立地に浮かぶ特車二課棟を髣髴(ほうふつ)とさせる楽曲です。

決して派手ではないけれど、「フィクションと違って現実世界ってこうだよね」と思わせるような味わいが、『パトレイバー』の世界観とあいまっていると感じます。
実際、湾岸地帯の寒々しい情景を眼前にしながら聴くと、この曲の完成度の高さが際立ちます。

「expel」という単語には「追い出す、追放、除名する」という意味があり、まさに特車二課そのもの。
 
全編に渡って力強いベースが響くあたりが「地味だけど、芯のある強さ」を感じさせます。
ベースという楽器は、料理で言うところの「だし」のようなものかな、と思います(楽器には詳しくはないので、この表現はご容赦くださいませ)。
ベースを強調することで、その曲の良さがぐっと際立つ、というべきでしょうか。

旋律を援護射撃するようなベースの響き……。「ああ、音楽っていろいろな要素によって成り立っているのだなあ」と当たり前のことをしみじみと感じ入った次第です。


ラストのウインドチャイムのキラキラとした音の後ろで、止まりかけたオルゴールのように、テンポを徐々に落としていく音色が、冬の寒さを醸します。


なお、この曲には悲劇的な経緯があります。既述の通り、初出は、『PATLABOR Theme Collection Special』(1991年3月21日発売)ですが、 このCDのちょうど2年後にリリースされた、『PATLABOR TV Series &New OVA Music Complete』(1993年3月21日発売)にはこの曲が収録されていません。
曲名ゆえの悲劇か、真相は分かりませんが、当時、非常に落胆した記憶があります。

「機動警察パトレイバー」TVシリーズ&ニューOVA・ミュージック・コンプリート CDBOX

「機動警察パトレイバー」TVシリーズ&ニューOVA・ミュージック・コンプリート CDBOX


更に17年後の2010年、『PATLABOR THE MUSIC SET』のリリース時に、いちばん気になったのは『Expel』は収録されているのか? でした。

しかしこの危惧は杞憂に終わり、『PATLABOR THE MUSIC SET1』DISC-4に収録されています。19年の時を経て、やっと初出盤以外のCDに収録です!

機動警察パトレイバー PATLABOR TV+NEW OVA 20th ANNIVERSARY PATLABOR THE MUSIC SET-1

機動警察パトレイバー PATLABOR TV+NEW OVA 20th ANNIVERSARY PATLABOR THE MUSIC SET-1


パトレイバー』シリーズから川井ファンになった人にとっては、2007年のコンサートに次いで「ぐっと来た」出来事だったのでは、と思います。
パトレイバー』シリーズを通して、『川井さんは6人目のヘッドギアのメンバー』と私だけひそかに思っております。

先ごろ発表された『THE NEXT GENERATION ‐PATLABOR‐』に川井さんの参加が発表され、ますます期待が膨らみます。長年「パトレイバーファン」かつ「川井ファン」で良かった! と快哉を叫びました。

『THE NEXT GENERATION ‐PATLABOR‐』公開まであと5ヶ月。今は静かにその時を待ちたいと思います。