ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

オススメの作品『暗黒神話 餓鬼の章』

どうもタニヤンでございます。
暗黒神話』は前編・後編と2回に分けてお送りします!
今回は『暗黒神話〜餓鬼の章〜』です。

暗黒神話 餓鬼の章』
1990年1月26日発売
原作:諸星大二郎
監督・脚本:安濃高志
演出:安濃高志望月智充
キャラクター・デザイン:柳田義明
作画監督:河内日出夫、柳田義明
制作:亜細亜堂
キャスト:佐々木望速水奨 ほか

原作漫画は週刊少年ジャンプの1976年20号〜25号に連載された作品です。現在の連載作品のイメージからすると隔世の感があります。
ただ、川井さんは後に、『妖怪ハンターシリーズ』の一編『生命の木』を実写映画化した『奇談(’05年)』の音楽も 担当されています。諸星作品との相性は良いのかも知れませんね(笑)



なおサントラ未発表の作品で、正式な曲のタイトルが分かりませんので、曲の特定は「○○……の場面」と表すことにします。
今回は作品全体の内、とくに僕個人が印象強く感じた曲について書かせていただきます。

  • 冒頭(01:00頃)

物語内に登場する老人・竹内による神話の解説です。決して明るいOPではありません。これから始まる宿命の物語を暗示するかのように暗く重く響きます。僕個人が長いダイアローグや長いナレーションと言ったものが大好物なので、こうした解説の背景に流れつつある種の雰囲気を作っていく曲は大好きです。

  • タイトル(02:30頃)

太古を感じさせる打楽器の音楽です。オドロオドロしくもホラー作品とはまた違った印象です。端的に作品のイメージを象徴する曲という気がします。これから始まる物語の暗澹たる雰囲気を表している……という感じですかね。

  • 「オリオンの三ッ星……の場面」(16:00頃)

ごく短い曲ですが、星の瞬きを、オリオンの神秘性を表していてとても綺麗な曲です。どちらかというと暗い曲・暗いシチュエーションばかりのこの作品にあって、数少ない癒しの曲です。

  • 「羅睺(らごう)の碑文……の場面」(22:00頃)

比叡山の高僧慈空上人によって発見される主人公・武、そして上人が感じる悪しき予感、その背景に流れる曲ですが、上人の戦慄の表情とあいまって先行きの不安が良く伝わる曲だと思います。 正直こうした意味深な曲というのは……大好きです(笑)

  • 「天の渕駒……の場面」(25:00頃)

太古の儀式を表すように、太鼓のリズムと笛のような音が怪しさを表現しています。実は僕自身、民族音楽系が大好きと言うのもあるのですが、この曲は確かにそうした太古の血のイメージと言ったものを巧く表現できていると思いました。
作品内では竹原古墳内で天の渕駒壁画を見るうちに、武はその血の中に眠る自らの宿命を呼び覚まされて、何者かに導かれる訳ですが……さて。

怪しい仏像に囲まれた武が馬頭観音からある“告知”を受けます。武の意思とは無関係に次々と背負わされていく絶望的な宿命が見る者を不安にさせます。
前述の「天の渕駒」 とはまた異なる曲ですが印象は近いように思います。

  • 餓鬼の章エンディング(47:37頃)

メインテーマとも言える曲。短いフレーズの曲が、高く、低く、繰り返されます。どこかトルコ行進曲の様な明るさも持っていますが決してそればかりではない印象です。繰り返しが続く度に徐々に新しい楽器が加わり、徐々に異様な高みに上っていきある種の高揚感に至るといったイメージです。もしかしたらこのまま地獄に続くのではないかという不安とともに前章「餓鬼の章」は終わります。


この『暗黒神話〜餓鬼の章〜』は、複雑な物語の導入兼ステップ1と言う意味合いの一本です。武は自分がどんな運命を背負い、その運命に対してどう対峙し、そしてどう行動していくのかという物語の主軸と、それを支える背景としての神話・哲学・伝説などの解説・対話が複雑に絡み合い独特の衒学的な世界観を形作っていく……何か何処かで聞いた事のあるような物語構造ですが……(笑)

次回は『暗黒神話〜天の章〜』です!!
この後編では主人公がある決意を胸に行動を起こすシーンがあるのですが……、それは次回のお楽しみということで。
では再見!!