La Sola(『Fate/stay night』 A.OSTより)
SSです。このブログとあまり関係ないですが、最近TYPE-MOON作品の『Fate/Zero』が面白いです。この作品の音楽担当は川井さんではありませんが、しかし、前作にして後日談である『Fate/stay night』のTVアニメ版の音楽を担当しているのは川井さんです。実際、Fate/Zeroの二人の主人公、衛宮切嗣もセイバーともにその最期は『Fate/stay night』で演じられています。そこで今回はTVアニメ『Fate/stay night』A.OSTから『La Sola』(と加えて『英霊鎮魂』)を解説します。
stay nightでの衛宮切嗣の最期は、モーツァルトの遺作、『レクイエム ニ短調 K.626』第三曲 続誦(Sequentia) VI. 涙の日(Lacrimosa)をモチーフにした『英霊鎮魂』で葬送されます。ちなみに、これは音響監督の辻谷耕史さんの選曲だったはずです。
一方、セイバーの最期は『La Sola』(イタリア語、英訳は『Only You』)です。まず、これが前出の『英霊鎮魂』と対比をなしていることは明らかです。
また現在放送中のFate/Zeroの音楽を担当する梶浦由記さんがコーラスを特徴とするのに対して、川井さんのこれらの曲が独唱であることも好対照です。くわえていえば一般的にLacrimosaが合唱曲であるのに、『英霊鎮魂』が独唱であることも特徴的です。
なお、『La Sola』は川井さんの公式ホームページにイタリア語歌詞が載っていますが、和訳はout tracksアルバム『La Sola』*1にのみ載っているようです。非常に趣き深い歌詞なので以下に一部引用します。
La Sola (Only You)
世界中にあなたのマスクが永遠に残存するでしょう
清らかな月桂樹はあなたの元にとどまりました
あなたの存在は私の心の中でいつも
情緒的な厳格、動作、希望、消えることのない光でした
避難、挫折、私自身、わかっている事はただ一つ、あなたをなくした事…
2番もありますが、それはぜひCDを入手して見てください。この歌詞は川井さんの依頼によりPaolo Bozzolaさんが作詞されていますが、サウンドトラック制作における協業・分業関係が読み取れます。
余談ですが辻谷音響監督からは別のクラシック曲を推されていたところ、川井さん側から『La Sola』を提示して承諾をもらったとインタビューに載っていた記憶があります。
まとめると、『La Sola』は作品の世界観と川井さんの感性が調和した曲だと思いますし、もっといえば、川井さんだけではなく音響監督や作詞家、その他音楽制作関係者の総和といってもいいでしょう。