ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

東京藝術大学「川井憲次トークイベント」レポ(後編)

(前編はこちら↓)
http://d.hatena.ne.jp/kenjiken/20120401


司会「『攻殻機動隊』などは、一度聴いたら忘れられないと思うのですが、自分の特徴は何だと思いますか?」
川井「……乱暴……野蛮、でしょうか? 音楽をちゃんと勉強したことがないので。音楽って“やっちゃいけないこと”とかあると思うんですが、それがわからないんです。今でこそ多少、和声とか分かるようになったんですけど。僕自身が気持ちよければいい、という作り方をしています」
司会「川井さんの音楽には、なんというか無国籍さのような良さがあると思うのですが、それは意識してやっているのでしょうか?」
川井「うーん、とくに国籍は考えていません。監督やプロデューサーの求めるものを音楽にしていくので。僕は何もないところから音楽って作れないんですよ」
司会「自分の中にないスタイルの曲を要求されたらどうしますか?」
川井「“なんちゃって”みたいな曲になるんじゃないでしょうか?」
(場内に笑いが漏れる)
川井「自分の中にあるものしか作れないんですよ」
司会「でも引き出しはたくさんありそうですが」
川井「いえ、全然ありませんよ?」


司会「では石井さん、次回作の『009 RE:CYBORG』についてお願いします」
石井「まず昨年、4分間のプロモーション映像を作りました。絵コンテを川井さんの事務所に持って行って、監督と方向性について話し合いました。音楽はハリウッド的な大作感が欲しい。重厚な雰囲気を出しつつ、スピード感、そして若々しい感じを求めました。川井さんがその場でギターを弾いて、色々試行錯誤しましたね。でも基本的にはお任せで」


(会場のスクリーンに川井さんの手元のMacの画面が映る)
川井「これはデジタルパフォーマーというソフトで、これでいわゆる“打ち込み”という作業を始めます。それで完成の場合もありますが、部分的に生楽器に差し替えることもあります。その場合、これで打ち込んだものを、そのまま譜面にできるので、印刷してミュージシャンに渡し、演奏してもらうワケです。あ、ちょうどレコーディングシーンの映像があるのでご覧ください」
(画面にレコーディング風景が映る)
川井「……このとき新しいデジカメを買ったばかりで、つい嬉しくて撮っちゃっただけなんですが」
(場内爆笑)


司会「これまでやってきた中で、大失敗の経験というのはありますか?」
川井「作曲家としてはありませんね。ギタリストだった頃にはありますけど。自分はその日エレキを弾いたんですが、翌日にアコギ持ってくるんでアコギも録ってもらえますか、とお願いしたんです。次の日また来て、ギターケースを開けると……弦を張ってなかったんですね。そのままケースをパタンと閉じまして。やっぱやめましょう、と」
(場内が爆笑の渦に)
司会「他にはありますか?」
川井「またギタリストのときの話なんですが。今度はピックを忘れてしまったんです。替わりのピックもなかったので、飲んだカプセル薬の空きケースで弾いていたんです。そしたら、“ギター、音が細いよ!”と言われて。仕方ないので、ケースを二重に重ねて弾きました」
(大爆笑)


司会「川井さんにとって、お金で買えないものって何ですか?」
川井「……やる気、ですかね。モチベーションはお金で買えない。だから山登りをしたり、温泉に行ったり……あ。コレってお金払ってモチベーション買ってますね(笑)」


司会「では最後に『東のエデン』の第1話を上映します。今日は5.1chの環境を揃えましたので、ぜひ音に注目して観てみてください」
川井「音楽だけに注目して観てください」


(上映終了)
石井「第1話冒頭のタクシー内でジャズソングが流れていたんですが、第1話の段階ではまだ最終回の絵コンテはできていなかったんです。それで、ぜひこの曲を最終回で流したい、ということになりまして。まず曲ありきで、最終回のクライマックスシーンが完成しました」


司会「川井さん今後の予定などをお聞かせください」
川井「先ほどの『009』が秋に公開ですね。あと、4月から朝ドラの『梅ちゃん先生』が始まります。ふだん、ほんわかした曲をなかなか作れないんですよ。戦ったり、呪われたりとか、そんなのばかりで。『梅ちゃん先生』は主人公が巨大化しない、戦わない、人が死なない、久しぶりの作品になると思います」
司会「本日はありがとうございました」


〜まとめ〜
司会の方が川井さんについてそれほど詳しくないため、『紅い眼鏡』をアニメと勘違いしたり、「引き出しは一つしかない」の名言を知らなかったり、川井さんの髪型の印象から「ロックな人」と決めつける嫌いがあったりしたのはちょっと。
あとは、アニメと映画の音楽の付け方の違いなどは「今更触れることでもないよなー」と思ったものの、会場に来た層を考えると、まぁ、良かったのかな?
川井さんについて知らない分、これまでと違う質問が飛び出したりしたのは面白かったけど。
全体的には楽しめるイベントだった。
また第2弾があったら参加したいと思う。


〜余談〜
終了後、受付の人に同人誌『川井憲次全CDデータブック Kとれじゃ〜』を大量に贈呈するみーらさんは、流石のサークル代表であった、と。