けんじけんブログ

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

「プレイリスト」がなかった時代……

風見鶏です。(*゜▽゜)ノ
先週のプレイリストの話に影響されまして、ちょっと関連したネタでいきます♪
つまるところ「プレイリスト前史」みたいなものでしょうか。


これはまだ、「iPod」や「プレイリスト」といったテクノロジーが存在しなかった時代の話です。


サントラの中から気に入った曲だけを集めたカセットテープを作成し、それをひたすら聴きまくるという楽しみ方は現在の「プレイリスト」に通ずるものがあり、サントラを楽しみ尽くす醍醐味の一つでしょう。


まだCDとカセットテープしかなかった頃には、現代のプレイリスト作成にはない苦労がありました。

まず第一にあるのが、録音時間がどの長さのテープを使うのか? です。

たくさんの曲を入れたい場合、90分や120分のテープを使えばそれだけ長くいろいろな曲が入ります
ですが、長いテープには「テープが伸びる」という弱点があり、回数を多く聴いていると音が少し歪んだ感じになり悪くなってきます。

それと比べた場合に比較的耐久性があるのが60分〜46分の録音時間が短いテープです。
当然、録音できる曲の数は少なくなりますが、ある程度は安定して聴くことが出来ます。

自分は主に60分テープを選択していました。


さて、そこで次に出てくるのが、「こだわり」です。

これはプレイリストにしても同じことが言えると思いますが、収録する曲はただひたすら数多く長く入っていれば良いというものではない、と自分は考えていました。

つまり、60分テープならきっちり60分で収まるように選曲をするわけです。
もちろんその中で、さらに最適な曲順を考えます。
これには、「設計図」とも言えるような候補曲のリスト及び曲調などのメモ、さらに曲の時間が必要になります。
時間は、カセットの片面に何曲入れられるのかを考えるために、曲調などのメモは曲順を考えるために大事です。


このようにして出来上がった「設計図」を元にして、CDからオリジナルのカセットテープ作成を始めるのです。

そしてこの作業もまた、いろいろと大変だったりします。

候補の曲が同じCDであれば、CDプレイヤーのプログラムなどで簡単に順番通り録音できますが、「こだわり」よりも作業効率を優先させた場合(手抜きともいう)でなければ、こういう楽な作業になることは少ないのです。

たいていは、一曲カセットに録音するたびにCDを入れ替え、また一曲録音しては他のCDに入れ替え……という作業が延々と続くことになります。

そして難関は、想定していたテープの録音時間よりも実際に録音してみた曲の長さがオーバーしていた場合です。
しり切れトンボでは気持ちが悪くていけません。
とはいえ、自分のイメージしていた当初のコンセプトは大事にしたい。

そこで収録曲の尺を合わせるために、曲順の入れ替え作業が行われることになります。
現代のプレイリストではドラッグ&ドロップで一瞬の作業ですが、当時のカセットテープでは一番最初の曲から録り直さなければならないこともめずらしくない作業でした。
また、当然ながら録音するにはそのすべての曲をリアルタイムでかける必要があり、60分テープなら最低でも60分+作業時間がかかるのです。
やり直せばさらにその倍かかります。


少々長くなりましたが、まだCDとカセットテープが主流だった時代、自分はこのようにして川井さんのお気に入りの曲だけを集めたカセットテープを作成したりしておりました。


ですが、ここで話は終わりません。

実は当時、自分が大好きだった『紅い眼鏡』『御先祖様万々歳!』のCDを所有していなかったのです。
ただし幸いなことに友人がその両方を所有していたため、それをカセットテープにダビングさせてもらい、そのカセットテープをもとにさらにカセットテープにダビングして編集するという作業になりました。

もちろん、そのためにカセットテープ同士をダビングするためのダブルのカセットデッキ(ちなみにテクニクス製)を買いました。


この状況は後年まで続き、ビデオテープの方が音質が良いと聞けば友人宅にVHSのHGテープを持参して録音させてもらい、やがてCD−Rが出てくればまた友人宅に押しかけ……。


その後、幸いにも原盤となるCDが再販されたりして今となっては過去の思い出ですが、ホント良い時代になったものです。


この60分という制限の中で選曲し編集したオリジナルお気に入りテープを作るという作業は、その後MDの時代になってもメディアを変えて続いていきます。
それは、現代のプレイリストの時代になっても変わることなく……。


余談ですが、MD時代に作ったディスクが最近出てきまして、ちょっと聴いてみたところ、自分で「ボーナストラック」と称して録音していたのが『紅い眼鏡』の予告編でした。(もちろんセリフ&SE入り)
その頃は後年になって発売された『紅い予告』なる曲は存在せず、その曲を聴くには予告編そのものを聴くしかなかったんですね。(笑)

いやー、ホント良い時代になったもんです。



【風見鶏】



↓これがその『紅い眼鏡』予告編。(曲がさいこーにイイんだ!)



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