オススメの作品『ちびねこトムの大冒険 地球を救え！なかまたち』

今週は諸事情により、予定を変更してD-01がお送りしますm(_ _)m

『ちびねこトムの大冒険』は1992年に公開予定だった劇場アニメで、色々あってお蔵入りしていた。検索してみても「音楽が川井憲次で、原画には沖浦啓之が参加していて、過去にCATVで一度だけ放送された」というくらいしか情報が得られず、もっぱら「幻の作品」と言われていた。
そんな不遇な作品が様々な紆余曲折を経て、この度テレビ放映や上映会に向けて再起動したとのこと。これまた色々あって、自分も運良く作品を見る機会を与えてもらった。
本作は飯野真澄の児童文学のアニメ化作品だが、「子ども向け」と一言では片付けられない豪華なスタッフが集っている。

監督：中村隆太郎（serial experiments lain）
美術：小倉宏昌（機動警察パトレイバー the Movie）
　　　神山健治：（009 RE:CYBORG）
原画：沖浦啓之（人狼 JIN-ROH）
キャラクターデザイン・作画監督：大橋学（ポポロクロイス物語）
音響監督：斯波重治（風の谷のナウシカ）
キャスト：藤田淑子、野沢雅子、中尾隆聖、高山みなみ、かないみか、坂本千夏、大塚明夫、鶴ひろみ、山口勝平、飛田展男、佐野量子
上映時間：８０分

【あらすじ】
冒険好きな猫族の小学生、トムと仲間たちは、ある日奇妙に光る山を調べに出かけた。山の頂上の遺跡で地球の欠片「チキ」に導かれたトムたちは、地球を救うための壮大な冒険へ旅立つことになる……。

本作の総作画枚数は６万枚超と言われている。ちょっとしたシーンにも積極的に背景動画を導入した躍動感溢れる作画は非常に見応えがある。とくに中盤、美しい透過光が印象的な夜の町のチェイスシーンや、クライマックスのアクションシーンは出色の出来。

さて、お待ちかねの「音楽について」。1992年の川井憲次といえば、『機動警察パトレイバー』や『らんま１／２』などの長期シリーズをこなしつつ、『姫ちゃんのリボン』を手掛けていた頃だ。翌年には名盤と誉れ高い『無責任艦長タイラー』が控えている。
曲のジャンルはバラエティ豊か。心温まるアコースティックバラードからノリのいいポップス、サスペンス曲等。ダンス曲などは後の『タイラー』に繋がるノリだし、ティンパニの効いた雄大なマイナー調のバラードは『ブルーシード』や『サンサーラ・ナーガ』などを彷彿とさせる。

主題歌『まぶしい夏休み』も川井憲次の手によるもの。近いノリの曲を敢えて挙げるなら『チーム・イノセント』のＥＤ『I NEVER FORGET MY DREAM』だろうか。

ヴォーカルの広谷順子は川井サウンドのコーラスなどでお馴染みの方。作詞の雄鹿美子は、『らんま１／２』の企画アルバムや『Ｐ２』の『おもひでのベイブリッジ』など、川井憲次の歌曲の作詞を数多く手掛けている。

全国のちびっ子だけでなく、作画マニアや川井憲次ファンにもオススメしたい『ちびねこトムの大冒険』は、２０１２年１月２日、１２時２５分から群馬テレビで放映。他の放送局とも交渉中とのことだが、「早く見たい！」という方は、地元テレビ局にリクエストしてみるのもいいかもしれない。

【ちびねこトムの大冒険　公式サイト】
http://chibinekotom.com/