ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

猫体操第二(映画『紅い眼鏡』より)

【作曲家・川井憲次の楽曲について、色々語ってみるブログ/第65回】


SS@けんじけんです。

前回前々回の『遺留品No.01』『空中庭園』に続いて、今回も川井憲次3大ピアノソナタより最後の曲『猫体操第二』(映画『紅い眼鏡』より)です(しつこいようですが、3大ピアノソナタとは僕の勝手な命名と選曲です)。



今回の曲がほかの2曲と異なるのは、作品のメインテーマ曲ではないという点です。作品の中での曲の位置づけから考えれば、この曲を特別視することには異論もあるかもしれません。なにしろ、本編での使用は昏睡から目覚めた主人公、都度目紅一(千葉繁さん)のバックで流れている劇中曲、かすかに聴こえるラジオ体操っぽい音楽という程度です。



しかし、そこは「ディテールに神が宿る」という押井作品、見過ごせない魅力にあふれてます。実際、映画をみていると、たしかにラジオ体操っぽい曲なんだけど曲も体操の掛け声もなにかが違う、その違和感が気になってしょうがない。「人は本筋ではないところのほうが、気になるものなのです!」と絶望先生もいってますが、この曲に関しては確かにそのとおりです。



コメンタリーによりますと、この曲、じつは脚本担当の伊藤和典さんの飼い猫、伊藤乃良さんがストレッチする様を題材にして作られたそうです(余談ですがこの伊藤乃良さん、本編にも出演していて、エンドロールにもしっかり名前が出てます)。また、作曲した川井さんについても「〜こういった奇怪な音楽を作るとき程燃える男である」という押井監督のコメントもあります。この映画のテーマから考えて、この種の演出が意図的な誘導であることは明白です。



現在流通している『紅い眼鏡』のサントラには収録されていますが、初盤には未収録であり、苦労して初盤を入手した僕のような古参サントラオタクを落胆させたものです。それゆえ2003年にCD BOX『Cinema Anthology』にて初めて収録されたときには喜びもひとしおでした。いつの日か、この曲のVocal versionが公開されるといいですね。ではまた。