ほぼ隔週刊けんじけん

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

最新作公開!! 『Chatroom/チャットルーム』

【作曲家・川井憲次の楽曲について、色々語ってみるブログ/第52回】

2011年3月19日公開
監督:中田秀夫
脚本:エンダ・ウォルシュ
撮影:ブノワ・ドゥローム
出演:アーロン・ジョンソンイモージェン・プーツ、マシュー・ビアード、ハンナ・マレー、ダニエル・カルーヤほか

 たか厨@けんじけんです。
 今回、ご紹介するのは東京で公開が始まったばかりの中田秀夫川井憲次コンビの最新作『Chatroom/チャットルーム』です。本作は”ハリウッドで夢破れた(苦笑……その経緯はドキュメンタリー映画『ハリウッド監督学入門('08)』に詳しい……)中田監督がイギリスに渡り、現地スタッフと欧米人キャストを使って撮り上げた、インターネットがテーマのサスペンス映画です。
 第63回カンヌ映画祭の「ある視点部門〜オフィシャル・セレクション作品」に選ばれました。
 タイトルになっているチャットルームの主催者である、主人公のウィリアムを、『キック・アス』でボンクラ高校生役を好演したアーロン・ジョンソンが演じています。
 ……といったところが本作の概要です。しかし、ここは、けんじけんのブログです。本作の音楽について触れなくてはならないでしょう。


 中田監督の近作は『ハリウッド監督学入門』、『インシテミル('10)』と音楽の流れる場面が非常に少なかったのですが、本作は音楽が流れている場面自体は非常に多いです。音楽の流れていない場面の方が少ない位です。ならば”川井ファン大歓喜!!”の映画なのかと言えば、そういう単純な話ではないから、複雑です。
 と言うのも、本作で流れる音楽の大半は、現実音楽として流れる洋楽やクラシック等の既成曲なのです。エンドロール(ここに流れるのも川井さんの曲ではなく、洋楽)のクレジットで数えてみましたが、使用された既成曲の数、実に23曲!! 一曲丸々ではなく、十数秒単位でしか使われていない曲も含めての数でしょうが、音楽映画ではない本作にしては、少し異様な数の曲数です。
 勿論、過去に川井さんが担当した作品で、既成曲と共演(競演?)した例がない訳ではありませんが、その数23曲の本作に匹敵する様な作品は、ちょっと思い浮かびません。
 主要な登場人物たちの年齢も10代後半〜20代前半と若めで、題材もインターネットですから、本作はティーンズ向け映画であり、そこで彼らの好む処の洋楽が大量に投入されたのではないかと私は邪推しています。それが中田監督の意向なのか、あちらのプロデューサーの指示なのかどうかは私には分かりかねますが。


 とはいえ川井さんの楽曲は、要所要所で流れて、画面を引き締めています。曲数こそ少ないですが、大量の既成曲に埋没することなく、独自の輝きを発しています。登場人物の一人の回想シーンで流れるストリングス主体のしんみりとする曲、緊迫する終盤を盛り上げるサスペンス曲、そして川井さんのホラー系の映画でお馴染みの暗く重い空気感を醸し出す曲などが印象的でした。
 世情厳しい折ですが、余裕のある方は是非、劇場へ足を運んで、耳をすませて下さい。

 『ハリウッド監督学入門』、『インシテミル』に続いて、本作もサントラが発売される予定はないようですが、曲数の少なさと時間の短さを考えると致し方のない処でしょう。しかし三作サントラ未発売作品が続いたのですから、「中田監督作品という括りでもってレコード会社の枠を越え、三作品まとめたサントラ(三作品ならCD一枚分位にはなるでしょう?)を作ってみるのも面白いんじゃないか?」と愚考するのですが、いかがでしょうか?(苦笑)>エラい人