けんじけんブログ

作曲家:川井憲次に関する最新情報を集めている憲次力研究所(けんじけん)のブログです。

「私と川井サウンドの出会い」D-01編

それは偶然の出会いだった――


1988年春、我が家にCDプレイヤーがやってきた!
……姉のだけど。
姉は自慢げに「なんか聴きたいCDある? 借りてきてあげるよ」と宣った。
当時の自分は、芹澤廣明が手掛けた『タッチ』のサントラをあらかた揃え、次のターゲットを模索していた。


「じゃ、『うる星やつら』のサントラを」


……数日後。


「ごめん、なかった」


と、替わりに渡されたのが『めぞん一刻ミュージックブレンド2』だった。
まぁ、『うる星やつら』の後番組として第1話から見ていたので、「これでもいっか」と手に取り……聴いてみた。


驚いた。
感動した。
これまで自分が聴いてきたテレビのサントラというと、1分弱の曲ばかりで良くも悪くも「BGM」だったのが、この曲群はどうだ?
BGMとして機能しつつも展開がドラマチックで、音楽単体でも非常に聴き応えがあった。
テレビで見ていたときとまた違う楽しみを味わえた。


……今だったら「こんな曲を創るのはいったいどんな人間なのか!?」という思考が働くが、当時中学生の自分は、「めぞんの音楽むっちゃえーわー!」くらいの認識力しか持てなかったのだ。<認めたくないもn(ry


そして当時NHK-FMでは中尾隆聖森口博子がパーソナリティを務める「FMアニメストリート」という番組を放送していた。
この番組はアニソンだけでなくサントラの曲も流れるという、自分にとって貴重な情報源だった。
ある週、またサントラからの選曲があった。


「では川井憲次さんの音楽で『吸血姫美夕』エンディングテーマです」


曲を聴きながらふと思った。
どこかで聞いた名前だ。
そして「こんな曲、手元に置いておきたい!」心底そう思った。


『ミュージックブレンド2』をお持ちの方ならご存知だと思うが、このサントラにはジャケットにも帯にも「川井憲次」の名前は無い。
そしてライナーノーツは主題歌の歌詞が書かれたペラ紙だけで、紙の右隅に極小の文字で「作曲・編曲:川井憲次」と書いてあるだけ。
しかも自分が持っていたのはレンタル時に縮小コピーしたライナーだから「読めたのが奇跡」くらいの小さな文字。
そんな酷い扱いの作曲家の名前を覚えていた当時の自分に感謝したい。


この二つの出会いが燃料となり、そこに決定的な火薬が投げ込まれる。


機動警察パトレイバー劇場版』だ。


……爆発後は皆さんと同じ道。
そして現在に至る、と。
そんな感じ。